キャリア

日本の景気後退が「すでに始まっている可能性が高い」十分な根拠

景気動向指数は「悪化判断」へ

2020年にかけて中国次第の状況に

世界経済の減速が続く中で、経済成長を下支えする各国の金融・財政政策の役割は2020年にかけて高まります。

先に説明した通り、米国では金融・財政政策いずれも成長押し上げに作用しています。一方、中国では2018年末からの政策効果が明確に現れておらず、これが2019年の世界経済減速の最大の要因と筆者は考えています。

ただ、中国については、中央銀行による利下げ余地はかなり大きく、政治判断次第ですが、大規模な財政政策の発動が想定できます。2020年にかけての世界経済は、中国をはじめ成長率停滞に直面する各国で、成長率を押し上げる政策が行われるかどうかが、先行きを左右するでしょう。

米国以外では各国の政策対応が限定的にとどまると筆者は想定しており、経済成長率の減速は長引くと警戒しています。

改めて日本の状況を分析する

こうした観点で日本経済をみると、慎重にならざるを得ません。2018年後半からすでに日本は景気後退局面に入った可能性が高い、と筆者は判断していますが、この主たる要因は世界経済の減速です。

さらに2018年夏場に日本銀行が長期金利の上昇を容認する、引き締め方向への政策転換ミスも要因として挙げられます。日銀が引き締めを始めたことが日本の景気後退を招くパターンが、繰り返されたのかもしれません。

追い討ちをかけるように2019年10月から消費増税が始まり、財政政策が再び緊縮方向に明確に転じました。増税対策は行われていますが、ネットでは2、3兆円規模で恒常的な家計所得の目減りが起きており、これを補う政策対応は実現していません。

景気後退リスクが高まる中で安倍政権が増税判断に踏み出したのは、日銀が金融緩和を引き締め方向に動いたのと同様に、政策判断ミスと言えるでしょう。

先に説明したように世界経済減速に対して、多くの国が金融・財政政策により対応している中で、日本では金融・財政政策が双方ともに緊縮的に作用すれば、景気停滞が続くのはやむをえません。

今後、安倍政権の経済政策が大きく変わり、増税負担を上回るインパクトで、家計所得全体を押し上げる対応が実現すれば、米国同様に底堅い経済成長が実現するかもしれません。ただ、こうした財政政策の発動は期待できないと筆者は考えています。

<文:シニアエコノミスト 村上尚己>

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