はじめに
新年度が本格的に始まり、電車や街の中で新入社員らしきフレッシュな若者を見かけることも増えました。
株式投資の世界でも、4月は新たなスタートとして認識されることがあります。3月決算の会社も多く、投資していると「配当がいくら出たのか」「今年度の業績はどうなるのか?」と気にすることも多い時期。新たに投資を始めよう、と考える方も多いのではと思います。
投資「専業」になる必要はない?
しかし、その一方で学生時代は比較的自由に時間が使えたけれど、社会人になると忙しくなるので、投資が難しくなると思っている人もいるでしょう。
ただ、株式投資をする人は、日中も常に株価を見続けている必要があるということではありません。
これは証券会社に勤めている人であっても、株式が取引されている時間中、市場の動きを見ているわけではないということからもわかると思います。
株式投資の教室を運営していると、さまざまな人がやって来ますが、なかには「専業トレーダーとしてお金を何億円にも増やしたい」という人もいます。しかし、実際に株式投資を職業にできる人は、かなり特別な人だと考えてください。
例えば、野球を職業として1年に何億も稼ぐことができるという人はいったい何人いるのでしょうか? 野球をしている、あるいは野球をしたことがあるという人のなかで、どれだけの人が野球を職業にできるのか。
株式投資は、お金さえあれば誰でもできることですが、実際に「プロ」となるためには、スポーツの世界と同様に、かなりの努力と能力が必要になります。
「誰でも簡単に億単位のお金を稼げる」ということを銘打った書籍を見かけることもありますが、もし本当に誰もが簡単に利益を出せるのでしたら、働く人はいなくなるでしょう。
そして、本当に誰もが同じ方法で株を買ったり売ったりすることで利益を出せるのであれば、皆が同じ行動をとって、株式の売買が成立しなくなってしまいます。
株式投資を職業としても、それだけで食べていくことはなかなか難しいのですから、私たちが毎日株価をにらみつけている必要はなく、別の仕事をしながら投資すればよいのです。
本来、投資と博打は違います。自分の自由になる時間やお金の範囲でできる投資をすればよいのです。
そして、逆に仕事を持っている強み、つまり、日常生活資金は給料で賄えるのですから、投資の資金は増やした分だけ「余資」とすることができます。
これが専業になってしまうと、投資資金から生活費を捻出しなければいけなくなり、余裕がなくなってしまう危険もあります。