はじめに

PBのジレンマをどう乗り越える?

2017年には3割ほどだったPB比率は、前述の通り、現在4割を超えています。商品を仕入れればよいNBに比べて、PBは自社で商品企画から手がけるため、発注から販売までの期間が長くなり、需要予測が難しいという難題を抱えています。

特に最近は「防寒着など季節性の高い商品の割合が非常に増え、販売予測が難しくなってきている」(小濱英之社長)というジレンマを抱えているのです。加えて、SNSでヒットすると特定の商品が急激に売れることも、予測を困難にしている要因といえます。

小濱英之
決算説明会で下半期の戦略を説明するワークマンの小濱英之社長(右)

アパレルメーカー各社の共通課題として、季節品の在庫を残さず、売り切るということが挙げられます。この課題を克服するためには、販売予測のみならず、短納期で品質の高い製品を製造する工場をどれだけ押さえられるかにかかっています。

流行のサイクルが短くなっている今、ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」や、スペインのインディテックスの「ZARA」が勝ち残っているのも、中国や東南アジアにこうした信頼できる複数の生産工場を持っているからなのです。

今年4月に社長に就任した小濱社長は、ワークマンのPBの生産工場をゼロから開拓するために、中国を歩き回った経験があります。現在はワークマン専用のラインを確保でき、工場は100社ほどにまで増えました。

2020年夏には生産のリードタイムを短縮し、売れ筋の商品はシーズン内に追加生産できるシステムを整える予定です。また、現在369店舗で導入している需要予測システムを全店舗に広げ、販売予測の精度を高める計画を立てます。

FC店の負担軽減も課題に

もう1つ、売り上げの増加に伴い、ワークマン経営陣の間で「喫緊の課題」とされているのが、フランチャイズチェーン(FC)店の業務量の増大です。

ワークマンの店舗は2019年9月末現在で848店舗。このうち、ワークマンプラスは69店舗あります。最近は、これまで店舗が少なかった東北や四国、九州地方にもワークマンプラスを相次いで出店しています。

従来のワークマンのFC店のビジネスモデルは、夫婦2人で1億円稼ぐというものでした。ところが、ワークマンプラス効果で、従来の顧客に加え、一般客も来店するようになり、商品出しや接客などの業務量が増えました。

現在、FC店の平均年商は1億2500万円ですが、年商2億円超えの店舗も増えてきています。土屋哲雄専務は「2億円になると“家業”から“事業”になり、店のオペレーションが大変になるケースも出ている。早急に対策を考えねばならない」と説明します。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介