はじめに
突然やってくる「家族」との別れ
延床面積28坪ですが、空間に壁があまりなく、開放感がある室内。バルコニーでビールを飲みながら妻と会話していても、階段の踊り場にいる娘が見えるなど、「視線が抜ける」空間を生かしたシーンが用意されています。
妻がビールを飲まない理由が後にわかる
後半は、いつの間にか大きくなっているお腹をさする妻が「カスミももうすぐお姉ちゃんになるんだもんねえ」と急展開。子供の成長に合わせて、部屋をセパレートできることのアピールです。
友人家族がやってきたことを知らせるインターホンが鳴り、玄関を開けたところでスタッフが登場して「終了でーす」。一気に現実の世界に引き戻されます。最後は妻と娘とで玄関の前に立ち、スマホで記念撮影してお別れです。
短い時間の中で、体験したことを整理すると「妻と一緒にホームパーティの料理」「妻とバルコニーで乾杯」「娘の宿題の手伝い」「娘と一緒におもちゃ作り」「第2子誕生に向けての計画」など。確かにSNSの批判の声にあったように、男性が家庭を持ち、家を買い、子供が生まれるという、ある時代において”理想的”な場面が、凝縮されている側面もある印象です。
モデルファミリーを付けた狙いは?
賛否両論のある「モデルファミリー付きモデルハウス」ですが、この企画はどのような意図があるのでしょうか。リガードのマーケティング担当者は、30代独身男性を集めて契約してもらう意図はなかったとして「そのような捉え方をされる発信になったのは申し訳ない。真摯に受け止めたい」と釈明します。
「理想の家族を押しつけているように見える」という意見についても「真摯に受け止めたい」としたうえで、「理想の家族を作るというより、暮らしを体験する1つの『あるある』として提供している」と、狙いを説明します。
企画の背景には、戸建住宅の需要が減少していく中、「家族と暮らす幸せ」を参加者に実感してもらう意図はありますが、「これがベストと言うつもりはありません。なにか1つ参考にして持って帰ってもらえれば」と、選択肢の1つであることを強調します。
この担当者は今回の企画について、住宅に関して「モノ消費」から「コト消費」への価値転換をする、同社の取り組みを認知してもらう狙いもあると語ります。
「今までの住宅会社は、家のスペックや設計の話がメインとなっていました。モデルハウスで、使っているサッシや断熱材の種類といった、家のスペックを案内するのではなく、そこでの暮らしにスポットを当て、お客様に体感していただく機会を作りました」
今後は参加者の許可を得て、17日の様子を撮影した動画を作成予定。戸建住宅の魅力を若い世代に伝えることができるでしょうか。