はじめに

本場より1週間早く開催するワケ

もともとは米国で感謝祭の翌日に開催され、1年で最も売り上げが見込める商戦とされてきたブラックフライデー。日本でも、気温が寒くなり消費者の間で冬物への需要が高まるこの時期に、消費の“ヤマ”をもう1つ作りたいという狙いから、小売り各社が2010年代に入ってブラックフライデーのセールを開始しました。

ただ本場・米国にならえば、本来のブラックフライデーは11月29日。イオンは今年、1週間早くセールを開催することに踏み切ったわけです。そこには、いくつかの理由がありました。

1つは、日本の場合、11月20日前後から気温が下がりやすい傾向があり、このタイミングで冬物衣料や冬物寝具の需要が高まる点。「お客様もそろそろ買い物がしたいと思っているはず。実際に先週からグッと寒くなってきたので、この日程がベストだと考えています」(栢野部長)。

また、週明けの25日は多くの企業で給料日に当たります。さらに、イオンでは毎週火曜日に「火曜市」という食品セールを実施しています。金・土・日の週末3日間に加えて、給料日と食品セール日もセール期間に組み込むことで、消費者の異なるニーズを取り込もうという狙いなのです。

食品フロア
大勢の買い物客でごった返す食品フロア

特に注力しているのが、食品。日替わりで特売品を用意することで、セール期間中に何度も来店してもらえるような仕掛けを施したといいます。

建前は前年超え、本音は消費爆発?

3年目までは毎年、セール期間中の売上高が2ケタ成長を続けてきましたが、今年は消費増税の直後であることも踏まえて、「前年超えの数字を取っていきたい」(栢野部長)と控えめな目標を掲げています。

それでも、「お客様は8月、9月に先行してお買い物をされましたが、買いだめは必要最低限だと思われます。ブラックフライデーを待っていたお客様もいらっしゃるので、ぜひここで消費を爆発させて、年末に向けて明るい空気感を作っていきたい」(同)と、色気も見せます。

カウントダウン
カウントダウンイベントには、ラグビー日本代表のトンプソン・ルーク選手(中央)やお笑い芸人のレイザーラモンRGさん(右から2人目)らが登場

ブラックフライデーに力を入れることで逆に懸念されるのが、12月のボーナス商戦、クリスマス商戦、年末商戦、そして年明けの初売り商戦の需要を先食いしてしまうことです。この点については、12月から商品ラインナップを新生活や新入学の準備のための商品に変更。11月とは異なる買い物を促していく方針です。

栢野部長によると、これまでイオンに来たことのなかった客層がブラックフライデーをきっかけに来店してくれるようになった、という分析もあるといいます。需要の先食いをうまく抑え、消費増税によって冷え込んだ消費者の心に点火することができるか。今年のブラックフライデー商戦は、例年以上に重要な意味を持っていそうです。