はじめに

ラーメン店で「ドンペリ」!?

これまで数々のお店を手掛けてくる中で、個性的なオーナーにもたくさん出会ってきた藏本さん。もちろんお店はオーナーのものなので、その経営方針はオーナーの自由。

とはいえ、ラーメンのプロからすると「なんでそんなことを……」ということをやってしまうお店もあるのだとか。一例を挙げてもらいました。

「新宿歌舞伎町でラーメン店をやりたいっていう人がいて、プロデュースしたことがあるんです。土地柄、夕方にオープンして明け方まで営業して、水商売の方が仕事終わりに来る。それはいいんですが、オーナーが『店にドンペリを置く』と言い出した」

ラーメン店に超高級シャンパンである「ドンペリ(ドン・ペリニヨン)」。確かに、あまり似つかわしい感じはしません。

「何を出してもいいんだけど、逸脱しすぎちゃうと何屋かわからなくなります。だから僕は『やめてくれ』と言ったんです。それでも置くということになったので、手を引いたんですが…。そうしたら半年ぐらいでその店はなくなってしまいました。やはりラーメン屋はラーメン屋の範囲の中でやるべきだし、歌舞伎町だからってドンペリを置いてもいいということにはならないんです」

個性を発揮しようとして妙な方向に走ってしまう…。思い出してみれば、そういうラーメン屋さん、たまにありますよね。「餅は餅屋」というのは、ラーメン店を経営する上でも大事なことなのかもしれません。

これからのラーメン店に必要なのは

では、ネームバリューや奇をてらったメニューに頼らずとも人気を博しているお店は、どんな経営努力をしているのでしょうか? 藏本さんはそのポイントとして2つの点を挙げます。

「まず、今はSNSなどで情報発信をしていかないとダメ。何もしないで100杯は売れないです。お客さんも名店を必死に探すという時代ではなくなって、ネットで検索して出てきた店に行く。その入り口を間違わなければちゃんとお客さんは来ます」

また、情報発信と同時に重要なのが、さまざまなお客さんに対応できるようにしておくということ。とりわけ近年増えている訪日観光客に対しては、きちんと対策を取ることが必要だと言います。

「たとえば、メニューなどを英語や中国語に対応したものにすること。細かいところでいえば、ラーメン屋の場合食券を券売機で買う方式の店が多いのですが、あの券売機の表示を3ヶ国語にするにはスペースが足りない。だから表示を変えられる液晶タイプの券売機にする必要があるのですが、高価なので導入できていない店が多い。しかも、ほとんどのラーメン店の券売機って現金にしか対応していないですよね。キャッシュレスにも対応していく必要があると思います」

逆にいえばそれらのポイントに対してきちんと対応策を取っているお店は人気が出やすいといえます。もちろん「味」と「人気」は必ずしも比例しないですが、生き残っていくお店には必ず理由があるもの。その理由を知れば、いつものラーメンの味も少しだけ違って感じるのではないでしょうか。

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