はじめに

(3)収支のギャップを確認して、対策を考える

最後に収支のギャップを確認して、対策を考えましょう。

【収入―支出=ギャップ(過不足額)】

(6000万円+2080万円)-5400万円=プラス2680万円(←嬉しいギャップ)

夫婦が90歳まで生活するためには、現状の情報での収入で足りています。

繰り返しますが、生活するための試算でしかないので、この先に介護や入院、災害などに遭った場合の経済的損失、または老いによる施設への入所などの費用は含まれていません。

したがって、これで安心せずに、できれば奥様は60歳まで働き10年間収入を増やし、その分を積極的に貯蓄に回すことも考えてみましょう。会社員は、自営業の方とは違い、就労して現金を得られる期間が限られています。働ける時にしっかり収入を得ておきましょう。

“現状のまま”なら最低限度の生活はできる?

住宅ローンがあと10年くらいで完済されると思います。年金生活に入る年齢の時には、住宅ローンがないため、毎月の支出は26万円-8.2万円=約18万円です。年金の収入だけでは足りないという事態が生じた場合は、節約して切り詰めるのか、不足分を手元の貯蓄から取り崩すのかはご夫婦で話し合っておきましょう。

このほかに、定年を見据えてできることは、生命保険の見直しです。定年後の不要な保障を見直しすると保険料は今よりも減らすことができます。死亡保障の見直しをすることが一般的ですが、奥様が長生きされて資金不足になることが不安で、そのまま保障を残しておいてほしいと考えていらっしゃる可能性もあります。生命保険の見直しで減額される場合は配偶者の気持ちも確認しておきましょう。

また、車が必要な地域の場合、車両費は必要な費用になります。車の買い換えはもう1回はありそうですので、買い換え用の資金も準備しておく必要があります。

退職金は自分でも作ることができる

退職金がない場合、ご自分で退職金をつくることも検討できます。iDeCoを利用して仮に月額2万3000円を掛けることができれば、投資による運用成績を考慮しない場合、8年間で約220万円を準備できます。また、iDeCoの掛け金は、所得控除を適用することができるので節税が期待できます。

50歳代の場合、定年はまもなくやってくる大きなライフイベントです。今すぐにできることはすぐにでも始めることが大切です。定年退職までは残り8年ほどです。奥様にも手伝ってもらう!くらいの気持ちを持って、ご夫婦でラストスパートをかけてみましょう。

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