はじめに
上司に丸投げの相談はしない
「何とかしてください!」ではアドバイスはもらえない
以下は、部下が上司に相談している場面です。
部下:「○○社に提出する企画書の件ですが、先方からは今週の金曜日中に提出してほしいと言われています。そこで、どのような企画書を作成すべきか悩んでいます。課長、どうしたらいいでしょうか?」
上司:「『どうしたらいいでしょうか?』って。君はどんな企画書がいいと思っているの?」
部下:「私ですか。え〜と、いや……」
あなたが上司だったらこの部下にアドバイスしようという気になるでしょうか? このように「私にはどうしていいかわからないので、課長何とかしてください!」と、自分の取るべき対応の判断を丸投げした態度では、上司としても、相談に乗ってあげよう、いいアドバイスをしてあげよう、という気持ちになれません。ここまで極端でないにしても、このような傾向の人を見かけることはよくあります。
わらをもつかむような心境で助けを求める部下の気持ちもわかりますが、相談とは、判断に迷うことや一人では解決できない問題を解決するために、上司や先輩からアドバイスをもらうことです。
そのためには、自分が置かれている状況や考えなどをきちんと説明する必要があります。また、報告などに比べて相談は時間や負担がかかる場合があり、相手への配慮がとくに必要です。ですから、ここでも相手の都合を確認するようにしましょう。
以上をまとめると、次のような4つのステップになります。
〈相談をするための4つのステップ〉
1. 何の相談なのかを話し、都合を確認する
2. 現在の状況について話す
3. 自分なりの考えを話す
4. 相手に意見やアドバイスを求める
この4ステップを参考に、先ほどの相談例を改善してみましょう。
部下:「課長、○○社に提出する企画書の件でご相談があります。5分ほどお時間よろしいでしょうか?」
上司:「今ならいいよ、どうした?」
部下:「ありがとうございます。先ほど先方の担当者と話をした結果、企画書を今週の金曜日中に提出してほしいと言われています。そこで、どのような企画書を作成すべきか悩んでいます。私なりに考えた企画案がこちらになります。課長のご意見をいただけますでしょうか?」
上司:「そうか、わかった。なるほど、ポイントを押さえた企画になっているじゃないか。あとは、△△について具体的な数字を入れるともっと良くなるはずだ」
部下:「ありがとうございます!」
相談の基本は「私の考えはこうです。この考えに対して、どうかアドバイスをください」というものです。まずは、あなたの考えや答えをしっかりと述べたうえで、でもそれが本当にいいものなのか自信がない。だから助けが必要です。どうか教えてください――。こういうスタンスが大切なのです。