はじめに
クレカのような本人確認はナシ
Paidyは、お金の流れこそクレジットカードと同じですが、利用者にとっての利便性は全然違います。
クレジットカードを作るには、さまざまな手続が必要です。クレジットカード会社は、自社が立て替えたお金を後から回収できないような人にカードを持たせません。個人の信用情報を登録している機関に情報照会をするのはもちろん、本人だということを証明する身分証明書、場合によっては収入があることを証明する書類を求められることもあります。
しかし、Paidyは携帯電話の番号とメールアドレスをPaidyに伝えるだけで利用できます。ここが肝心な点なので、もう一度繰り返します。電話番号とメールアドレスさえ伝えればいい。つまり、名前も住所も生年月日も伝えずに済み、身分証明書の提示も不要なのです。
Paidyは後払い事業者としては後発組なので、ユーザーの利便性で差別化を図りたかったのかもしれません。しかし、何度メールを送っても払ってもらえず、電話をかけても出てくれなかった場合、名前も住所もわからず、どうやって督促するつもりだったのでしょうか。
おそらく、商品の送付先はPaidyが使える加盟店から情報提供を受ければわかるので、商品を受け取った人が利用者本人、受け取った場所が利用者の住所地だろう、というロジックだったと考えられます。しかし、何しろ身分証明書を提示する義務がないのですから、それこそ架空の名前で空き家を指定することも可能です。
本人特定には3つの情報が不可欠
一方、加盟店に対して支払い義務を負っているのはPaidyであって、利用者ではありません。落札者はPaidyとは何の契約も結んでいませんから、もちろん支払う義務は一切ありません。
ネット上には、落札者はPaidyからの請求書を無視すると、個人信用情報機関にブラック登録されて、5年間カードが使えなくなるなどという、とんでもないウソが書き込まれています。
クレジットカード会社などが個人の信用情報を登録しているシー・アイ・シー(CIC)という会社があるのですが、ここにPaidyが加盟していることがPaidyのホームページ上の会社概要に載っています。
だからこんなニセ情報を思いつくのかもしれませんが、個人の信用情報を登録するには、間違いなくその人の情報である必要があります。本人を特定するものは名前・住所・生年月日です。世の中には同姓同名の人がたくさんいるのですから、当然です。
しかも、これらは身分証明書に記載されているものと一致しなければなりません。Paidyは送付先としての落札者の住所と名前は把握していますが、それが身分証明書と一致するかどうかを確認しているはずもなく、第一、生年月日は把握できません。
そもそも契約関係もないような人の情報を、PaidyがCIC登録することなどできません。CICに個人情報の照会をするには、照会したい人物を特定する情報として、身分証明書と一致する住所・氏名・生年月日が必要です。利用者に名前すら聞かないビジネスなのに、CICに加盟している理由も不明です。