はじめに

新手の詐欺に見えるが古典的な犯罪

加盟店に対しては支払い義務を履行しなければならないのに、利用者には逃げられ、名前すら知らないから追うこともできず、利用者だと思っていた相手は別人で請求する権利すらない――。今回の場合、Paidyは踏んだり蹴ったりなのです。

金融事業は何かと手間暇のかかるビジネスなので、その非効率性を効率化すれば格段に儲かると考えがちです。しかし金融、特にお金を回収することで完結するビジネスは、回収に最も労力がかかります。

入口での面倒な手続きは、すべては確実に回収するために必要な手続きなのです。貸すのは簡単だけれど、回収にはノウハウが必要になります。

今回はフリマアプリという舞台を使ったので、新手の詐欺のようなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、他人になりすまして商品やお金をせしめる不正は、昔からある古典的な犯罪です。

二重請求を受けた人は警察に相談を

後払いサービス自体は誕生から20年近くが経過していて、特に新しいビジネスというわけではありません。

家電量販店のような、転売価値があって高額な商品を扱う小売店を加盟店に加えることは、非常にリスクが高いということも業界の常識です。犯罪を犯す側の“業務効率”を考えると、転売が効きにくい小額の商品、たとえば低価格の衣類や化粧品、健康食品などは、不正のターゲットにはまずなりません。

二重請求を受けた人は、決してすぐに支払うことなく、二重請求であることの証拠を持って、警察に相談していただきたいと思います。支払わずに放置しても何の損害もありませんが、警察に相談することが犯人特定につながります。何しろPaidyは不正を働いた利用者の名前すら知らない可能性もあるのですから。

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