はじめに

狙い目は高齢者関連とデフレ関連

――ポートフォリオに入れる銘柄はどのようにスクリーニングしているのですか。

「株探」を使ってテーマで探すことが多いですね。例えば、高齢化社会、5G、配当利回りなどをキーワードにして探しています。会社四季報も良いのですが、最近、小さい文字が見づらくなってきたので(笑)。

――注目しているセクターを教えていただけますか。

私が良いと思っているのは高齢者関連とデフレ関連です。

私は外国株にも投資していて、ポートフォリオ全体では3割くらいが外国株です。また、最近はベトナム、タイ、インドネシアなど成長性がある国の株も増やしています。その観点からいうと、日本は成長性という点で見劣りしますので、何でもかんでも買えるわけではありません。

この2つのセクターは国内経済が発展していない状態でも上がっていく可能性がありますので、経済発展という意味では悲観的な選び方ですが、買っていかなければならないと思っています。

なかでも、東京や大阪の都市部の土地を持っている会社が良いですね。海外は都市部の土地がバブル化していて、香港の人たちは年収の20倍、30倍という価格のマンションを買っています。そういった現状と比べると日本の都市部の土地はまだ割安感があります。

――逆に買いたくない業種はありますか。

私は街歩きからヒントを得ることが多いので、その点からいうと、業績や事業内容などが一般人から見えづらい銘柄はあまり買いたくないですね。また、自動車や工作機械など、景気に左右される銘柄もなるべく避けたいと思っています。

――先ほど挙げていただいた注目セクターの中では具体的にどのような銘柄を買っているのでしょうか。

デフレ関連だと、前述した神戸物産(3038)がまさにそれに該当します。2019年からはスシローグローバルホールディングス(3563)も持っているので、回転寿司もデフレ関連といえますよね。スシローを買う前は高値抜け狙いでコムシスホールディングス(1721)を買っていたのですが、予想と違って全然動かないんです。信用込みで1.5億円分ほど持っていたので、その一部を売ってスシローに替えました。結局、コムシスが動かず、スシローが7,500円くらいから1万円近くまで上がりましたので、ポートフォリオ上ではスシローの方が上位になりました。

――回転寿司は大手5社がシェアの大半を占めている市場です。その中でスシローを選んだのはどうしてですか?

業績面ではスシローの売上が競合よりも伸びていたことが挙げられますが、もっと身近な理由として、私の父親がスシローにしか行かないと決めていたことが大きな理由でした。他の回転寿司店にも行くのですが、ここは安いけどおいしくないとか、あそこはタッチパネルの反応がイマイチとか、そういった目線で見た結果、スシローに通っているわけです。

飲食店などは消費者の評価が大事ですよね。投資家は株価の割安度や事業の成長性などを見ますが、そもそも消費者に選ばれなければ儲かりませんし株価も上がりません。投資家のフィルターは歪んでいることも多いと思うので、一般消費者の感覚を大事にしたいですし、父親の声はまさに消費者の声だと思ったのです。

――www9945さんは街歩きによる情報収集を大事にしています。それも消費者の評価を見るためなのですね。

はい。飲食店に限りませんが、街を歩いているといろんな変化に気づきます。流行っている店を見つけることもありますし、先月まで行列ができていた店が空いているといった変化に気づくこともあります。店舗数を増やしている店があれば、その店が上場していなかったとしても、その店で使っている設備などを扱う会社の株が狙えるかもしれません。そういう視点で街歩きしていると、投資先のネタなどを結構拾えるものなのです。

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