はじめに

外国株には日本株にない魅力がある

――外国株もインカムゲイン狙いとキャピタルゲイン狙いに分けて考えているのですか。

各国の成長性によって分けることが多いですね。例えば、ベトナムは成長性がありますからグロース株が中心です。タイはインフラ系の銘柄が多く、これらは配当狙い、米国株はたばこ会社が3分の2くらいを占めていて、これも配当狙いです。投資額は少ないですが、シンガポールはリートの利回りが良いため、これも配当狙いで買っています。

ただ、タイは国としての成長性があるため、インフラ銘柄をディフェンシブとして買えると同時に、グロースのキャピタルゲインも期待できます。通常、ディフェンシブとグロースは対極のものとして考えますが、新興国の場合は両立することがあり、そこが外国株の面白いところでもあります。

――日本や米国のような成熟した市場と新興国市場とでは、銘柄選びの視点も変わりそうですね。

そうですね。例えば、ベトナム株ではリックス洗剤(LIZ)という洗濯用洗剤の会社を買っているのですが、これは国が豊かになり、洗濯機が普及していくことによって洗剤も売れるだろうという考えに基づいています。他はビナミルク(VNM)というアイスやヨーグルトなど乳製品の会社です。これは、所得水準が上がり、食が欧米化していくことによって、乳製品が家庭のテーブルに普及していくだろうという考えによるものです。

インフラ銘柄についても、タイ周辺の新興国は発電所が足りず停電が多いため、これから発電所を増やしながら市場と国が成長していきます。電力会社という括りで見ても日本とは全く見方が変わります。

――そう考えると、市場や生活レベルの成熟度が似ている日本と米国は銘柄選択の視点も似通ってきますか。

生活水準が近いということは、消費者が求めるものや趣味趣向も似るでしょうし、売れる商品も似るだろうと思います。私は配当利回りが高いたばこ会社を買いましたが、禁煙、嫌煙の流れも日米で共通していますよね。

このところずっと米国市場が強く、2019年は1年間でS&Pが30%ほど上がりました。私が買っているたばこ会社は、配当はありますが、値上がり率で見るとほとんどプラマイゼロです。コカコーラとかP&Gにすればよかったと思うこともあります(笑)。

――外国株の魅力を教えてください。

ポートフォリオ管理という点でいうと、外国株は日本株の避難場所になると思っています。日本市場が元気なくても、新興国は十分な消費力があり、市場の成長も期待できるため、買える株がたくさんあるのです。

また、外国株に目を向けた理由としては、個人的な感想として、日本株にちょっと飽きてしまったという理由もありました。日本株は投資家の数が多く、詳しく知っている人が多すぎると思ったのです。

――www9945さんも十分詳しいと思いますが。

まだまだすごい人がたくさんいるんです。バリュー投資家で見ても、例えば、決算短信の隅から隅まで細かく見ている人がいますし、定率法と定額法の違いといった会計上の深い話から銘柄分析をする人もいます。先日も、名古屋のAさんという有名な投資家と会ったのですが、1つの銘柄について30分間ずっと話し続けていました。切れ目なしです。それを見て、これは勝てないと思いました。その点、新興国の株などは投資家が少ないため、アドバンテージになる気がします。投資家にとっては自分が勝ちやすいところを見つけることが大事ですので、私は今後も外国株を見ていきたいですし、今後は中国のインフラ銘柄なども買ってきたいと思っています。

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