はじめに

7万5,647人。これがタイに住む日本人の人口です(2018年10月、在留邦人数調査統計による)。世界で4番目に日本人が多い国です。

日本の市町村と比べてみると、山梨県・甲斐市(7万5,291人)、埼玉県・志木市(7万5,265人)、東京都・国立市(7万5,156人)あたりよりも、タイのほうが大きな「自治体」といえるのです。

そして7万人規模の日本の市町村にある仕事は、タイでもけっこう存在しています。巨大な日本人社会の中では実に多彩な仕事があり、就職のチャンスがあります。「7万人の街に引っ越して、新しく仕事を探す」と考えると、タイ移住がわかりやすいものになるかもしれません。


製造業が在タイ日本人社会の中心

7万人の人口を持つ「タイ国・日本人村」。ここにはおよそ5,000を超える日系企業があるといわれています。現地採用者のほとんどは、これら日系企業のどこかに居場所を見つけることになるでしょう。日本人の海外就職というのは大半が「現地に進出している日系企業に雇われる」ということなのです。

この「タイ国・日本人村」の「基幹産業」ともいえるのは、製造業です。とりわけ自動車やバイクといった分野でしょう。そのほかにも、電子、機械、ゴムやプラスティック製品、金属、化学工業、食品……多種多様な分野の企業が進出しています。

バンコクの東にあるチョンブリー県や、北部のパトゥムタニー県、アユタヤ県などには、こうした日系企業が工場を構える巨大な工業団地がいくつも並んでいて、壮観です。

作業服を着て働く日本人がたくさんいて、彼らが足を運ぶ日本食レストランや居酒屋もあれば、寮の代わりや、出張者の宿泊所ともなっているホテルやサービスアパートもあり、そこには日本式の大浴場が備えられていたりもします。

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日系製造業の拠点となっているシーラチャーの街。在住日本人は7,000人とも1万人とも

ついでに言うと近郊には日本人工場マンを当て込んだ成人向けのお店も並んでいたりしますが、バンコクとはまた違った意味で「日本人コミュニティ」が成立しているのです。

ここでは金型職人から、生産管理、通訳、経理、営業マンまで、実にさまざまな日本人が仕事をしています。日本で製造業に勤め、経験を積んできた人であれば、タイでも就職するチャンスは大きいといえるでしょう。

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