はじめに
日本人社会を支える産業で働く人も多い
イオンモールに代表される小売、食品、流通などの分野でも現地の求人はいろいろ
そして膨張する日本人社会に付随する産業もまた、拡大を見せています。代表的なものが飲食でしょう。タイ社会の中で日本食がすっかり浸透したこともあいまって、いまや日系飲食チェーンが地方都市にも見られるようになりました。日本の暮らしで見慣れたいくつもの店がタイに進出しています。そのひとつひとつで、日本人のスタッフがいて、また別の日系企業がビザや経理やITや人材確保を担っているわけです。
在住日本人の暮らしを支えるサービスはほかにも数え切れないほどあります。子供たちの教育は日本語学校からインターナショナルスクール、学習塾に習いごと教室などがあり、それぞれ日本語教師や事務といった立場で働く日本人スタッフがいます。
不動産関連に引っ越し、銀行、物流、保険や医療関係、日本の食材や小売、フリーペーパーや新聞やネットやラジオなどの日本語メディア、旅行会社、美容室から宅配業者、ペットのケアにゴルフショップ、漫画喫茶にスーパー銭湯などなど、本当に多彩。
日本で7万人の人口を持つ自治体にある仕事は、たいていタイにも存在するといえるでしょう。それだけ幅広い日本人の人材が、タイでは求められているし、また活躍する場があるということです。
実はブラック企業もたくさん?
ただし、「どんな仕事でもやります! コンビニでも工事現場でもタクシーでも、なんでもやるからタイに住みたいです!」と言われても、これはちょっと難しい。日本人はいちおう、「日本人でしかできない仕事」を担うことで、労働許可証を取得するということになっています。だから現地採用者も何がしかの専門性を持った仕事に就くということになり、単純労働に分類されるような仕事で働くことはできません。
とはいえ高度な専門知識がないとタイ就職が難しいというわけではなく、日本で社会人として働いた経験があり、一般常識を持っている人であれば、どこかに居場所は見つかるでしょう。
そして7万人の社会であれば当然かもしれませんが、ダークな仕事もあります。いわゆる「反社」の方々もタイでビジネスをしているし、正体不明のあやしい日本人もけっこういます。
それに現地採用を雇う企業の中にも、労働許可証を取得しなかったり、タイの法律で定められた規定の給与の額(一般的には5万バーツ、18万円程度。一部企業は別)を守らないといった、「ブラック企業」もまた存在します。タイが軍事政権になってから外国人の労働管理も厳しくなり、ずいぶん減りはしましたが、まだ一部では「日本人を不当な待遇で働かせる日本人」がいます。
こういう会社にいると、下手をすると自分も「違法行為に加担している」とみなされ、タイの法に問われる可能性があります。すぐに辞めるべきでしょうが、これといった経験やスキルもなくタイに渡ってきた人の中には、とりあえずこの手の会社に潜り込み、そこを足がかりにのしあがっていこうという猛者もいるようです。