はじめに
年金をあてにできない今、老後資金のひとつとして定期収入が見込める不動産投資を考える方や、給料とは別の収入口として不動産投資を始める方が増えています。
物件価格は上昇しましたが、史上最低水準の金利が続く中、不動産投資に熱視線が注がれています。
新築ワンルーム投資の落とし穴
高収入のサラリーマンの携帯電話には、どこから番号が流出したのか、都心の新築ワンルームマンション投資の営業電話がかかってくることがあります。
新築ワンルームへの投資は、はじめは入居者にも困らないでしょうし、高めの家賃設定ができることも魅力です。ただし、マンション自体も新築価格となるため注意が必要です。
経年とともに建物の資産価値は下落し、修繕などの費用もかかってきます。築後10年ほどは修繕などの必要はないでしょうが、10年を越えるとさまざまな設備の更新時期がやってきます。またマンション自体の大規模修繕も待っています。都心には次々と新築ワンルームができますので、家賃を下げないと入居者が決まらなくなるかもしれません。そうなると頼みの綱の家賃収入も先細りです。
所有不動産を増やしたいと考えている方にとっては、マンションの資産価値よりも借入の残債の方が多くなると債務超過に陥っているとみなされて、次の物件購入の際の足かせになる可能性もあります。
もちろん逆に購入したマンションが人気エリアとなって、購入時より高い価格で売却できる可能性もゼロではありません。
リスクヘッジのためには1棟買い?
また、不動産投資にとってなにより怖いのは、空室リスクではないでしょうか?
キャッシュでポンと物件を買える方には関係ありませんが、通常は銀行から融資を受けて、借入金で物件を購入します。入居者がつかず空室のままでも、借入金の返済は待ってくれません。収入がゼロ円でも、毎月の借入返済や固定資産税の支払いは発生するのです。
都心のワンルームマンションを3室購入した場合、1室が空室になると稼働率は2/3室で約67%となります。
一方、都心通勤圏内の1棟4室のアパートを3棟購入した場合はどうなるでしょうか? 仮に1室が空室の場合でも、全部で12室になるため稼働率は11/12室で約92%になります。もし3室の空室が出ても、稼働率は9/12室で約75%となるのです。
もちろんほかの比較条件もありますが、年間想定家賃収入が同額の場合、どちらの投資手法が精神安定上よさそうかは一目瞭然ですね。
金利の低さが購入を後押し
都心の築浅物件ですと、表面利回り(満室時の想定年間家賃収入÷物件価格×100)がよくて5%前後ではないかと思います。
仮に物件価格2,000万円、年間家賃収入100万円の物件を金利1.5%、30年のローンで購入できたとしましょう。毎月の家賃収入は約8万3,000円で、借入金の返済が約7万円、このほかに管理会社への支払いに約5,000円ほどかかるかと思います。
手元に残るお金は毎月1万円弱となりますが、これも入居者があってこそ。空室となったり、修繕が発生したりすれば、たちまちご自身の資金を投入しなければならなくなります。それでも金利が低いおかげで、入居者さえいれば毎月のキャッシュ・フローはなんとか赤字にならずにすみます。
とはいえ現在の金利水準でも、表面利回りは8%以上はほしいところ。上記の物件の表面利回りが8%の場合、年間家賃収入は160万円となり、毎月手元に残るお金は約5万円に増えます。家賃収入の約40%が手元に残るのであれば、不測の事態にも備えることができそうです。