はじめに
マンションの売却は築〇年後からが正解?
住宅の話に戻りますと、2018年に築10年のマンションを2100万円で購入されていて、2032年に売却を考えていらっしゃるということですね。そうなると売却時では築24年のマンションということになります。
どのような物件かにもよりますが、例えば東京23区内の主要駅の駅近物件など、今後も需要が高いことが見越せる物件でないと、価格が購入時よりも高くなる、またはキープすることは難しい状況にあるのではないかと思います。
特に購入された2018年というタイミングは、マンション価格が非常に高騰しており、高値掴みになっている可能性もあります。売却時点での住宅価格がどうなっているかは明言できませんが、今後人口も世帯数も2020年現在よりは少なくなっていきます。住宅需要が減ると価格は下落の方向にむ可能性が高いです。
とはいえ、暗くなる必要はありません。結果として、住宅ローンの残債に対してマンションの販売価格が上回っていればよいのです。そう考えると、今から12年後の築24年での売却というのは、もしかするともったいない可能性もあります。
一般的に住宅の価格は、20年ほどである程度下がりきり、その後、価格の下落は緩やかになります。そうなると、築24年も築26年も築28年もそれほど売却時の価格に差が出ない可能性があります。例えば築24年時に1500万円、26年に1480万円、28年に1460万円で売却ができたとすると、資産の目減りは1年あたり20万円ということになります。住宅ローンを年70万円から80万円返済できているようであれば、その差分は売却時の手残りとして増えることになります。
また、住宅ローンを25年で設計されているので、完済は65歳になりますね。昨今の少子高齢化対策として、65歳、さらには70歳まで働くのは当たり前の時代が来ようとしています。仮に80歳以降に介護が必要になると考えると、収入が今後どのようになるかにもよりますが、住宅ローンを払い切れるようであれば払い切って、ローン完済後も住めるだけ住んでから売却した方が手元にお金が残るかもしれません。
修繕費が上がる、役職定年など…売却の際はタイミングに注意
一方で、マンションの修繕費が大幅に上がるタイミングなども考慮する必要はあります。築20年、30年となっていくと、共用部分であるエントランスやエレベーター、外壁などの補修・修繕にかかる費用も上がっていきます。住んでいるマンションにもよりますが、修繕費の増加は100戸以上の大型マンションに比べ、20~30戸のマンションの方が1戸あたりの負担が大きくなることがありますので、今お住まいのマンションの修繕計画などに目を通しておいてください。また、お風呂や台所などの水回りの修繕や家電の買い換えなども必要になることを視野に入れておいていただければと思います。
もし現在のマンションを売却したら、同程度の賃貸マンションに引っ越したいとのことですが、分譲マンションと同程度のグレード・間取りのマンションということになると、賃貸の方が高くなる可能性があります。部屋を貸している大家さんは、空室リスクや修繕費用を見越した上で利益が出るように考えるからです。となると、今と同じグレードを求めると住宅費が今よりも高くなることもあるので、その時点で賃貸状況などもチェックし、有利であれば売却し、不理であれば売らないという冷静な判断をされるとよいと思います。
ただし56歳のタイミングで売却することを考えていらっしゃるので、仮に役職定年が55歳で大幅に給料が下がるということがあれば、売却してより住宅費の負担が少なくなるところに住み替えという選択肢もあるかもしれません。
様々な視点があるので、将来の状況によって選択は変わるかと思いますが、今の家に住み続けた場合と、売却をする場合のアドバイスができたらと思います。