はじめに
増税影響が直撃した三越伊勢丹
このように、全体としては苦しい結果で増税の影響を感じさせる日本企業の決算ですが、特徴が大きく出た企業の決算を簡単にご紹介します。
まず、非常に悪い決算だったのが、百貨店の三越伊勢丹ホールディングス(3099)です。10~12月の売上高は2,979億円で前年同期比11.8%減、本業の儲けを示す営業利益は72億円で前年同期比50%減となりました。
売上高に占める営業利益の割合を示す営業利益率は4.3%から2.4%に低下してしまいました。消費増税に伴う駆け込み消費の反動が出たということでしょう。さらに足元では新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が大きく減少しており、2020年1~3月期の業績も芳しくないかもしれません。
高いブランド力が業績を下支え
一方で非常に良い決算が目立ったのが、ゴールドウイン(8111)です。同社はアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」など、高機能製品が人気のスポーツアパレルメーカーです。
ゴールドウインの10~12月期の売上高は346億円と前年同期比14%増、営業利益は106億円と25%増となりました。営業利益率は28%から31%近くに上昇しました。
同社は好決算を受け配当の増額も発表しました。アウトドアブランドの人気が高いことに加え、ラグビーブランド「カンタベリー」がラグビーワールドカップの影響もあり好調に推移したことが好決算の理由となったようです。
筆者が年明けにアウトレットでザ・ノース・フェイスに立ち寄った際も、非常に混雑していました。同ブランドの機能性やデザインに支持が集まっており、高いブランド力につながっていると考えられます。
もちろんゴールドウインの株価が今後どのように推移するかはわかりませんが、株式投資ではこのように高いブランド力を持っている企業の株式を安く買うことが有効です。ぜひ最新決算を分析し、他社がマネしにくいブランドを築いている企業を探してみてください。
<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>