はじめに

一般雇用で働くには困難な患者も

現在、障害者雇用促進法という法律により、民間企業は従業員数に対し2.2%の障害者を雇用しなければならないことになっており、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳を持つ人などがこれに該当していますが、難病に関しては手帳制度が存在してないため、この恩恵に預かられていないというのです。

「障害者雇用ではなく、一般雇用で就職活動をしようとすると、通院の頻度は様々ですが、月に1回程度の方も多い。病気の開示や、通院や一定の配慮について採用選考の際に話しにくく、実際には、それだけで採用されるのは難しくなってしまう現状があります。

指定難病については就労支援の助成金制度がありますが、これは公費として難病の人を採用した際に企業に支払われるもので、十分な恩恵が難病の人に届いているとは言い難いです。

身体障害や精神障害のように難病にも手帳制度があれば、障害者枠での就職活動をすることができ、合理的配慮もしてもらえますし、雇用されてからも支援機関に会社との調整に入ってもらうことができますが、一般雇用だとそれができません。必要な難病患者にも障害者雇用で働くことができるようになれば、無理せず仕事を続けることができると思うのですが」と中金さんは話します。

官民合わせた議論が必要

障害者雇用率制度の対象外となるため、十分な就職上の配慮を得られていない難病患者。その現状をなんとかしたいと、中金さんは「難病手帳の制度化を考える会」を立ち上げ、難病患者が話し合う会を全国で開催したり、ネット署名の活動をしています。

制度の谷間にいる難病患者の就労がもっと可能になるためにも、官民合わせた議論の活発化が、いままさに必要とされているのです。

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