はじめに
景気は読めないので予想しない
――数十銘柄がそれぞれ値動きすると、ポートフォリオ内の比率や含み益、含み損の金額も変わります。その点はどのように管理しているのですか。
ポートフォリオの比率などは頭の中で計算してポジション調整しています。ただ、含み(益、損)の額が変わっても建てた金額が変わるわけではありません。地合いの影響で大きく増えることもありますが、含みはあくまで含みなので確定損益の方を重視しています。
――相場で気づいたことなどもブログなどに残さず頭にインプットしているのですか。
そうですね。たまにノートに書くこともあります。ワードを使ったことがないので手書きのノートなんです。エクセルも使ったことがないので、日々の確定損益の計算も電卓です。効率悪いといわれることも多いのですが、使えないですしPCにも入っていないのでどうしようもないですよね。
昔、友達がエクセルを使ってポートフォリオか何かのパーセントを一瞬で表示させているのを見て「魔法か」と思ったことがあります。同じことを僕がやると、手作業なので2時間くらいかかるんです(笑)。
――地合いの影響を抑える方法として経済ニュースなども見ているのですか。
いいえ、中長期トレードが地合いの影響を受けるのは事実ですが、景気の先行きなどがどうなるかはわからないと思っているので、経済ニュースなど世の中の動きはほとんど気にしていません。
日々の調べ物なども、見ているのは個別の銘柄の動向だけです。決算や業績期待で銘柄を買っていく場合も、例えば2ヶ月後に決算があるとしたら、今の相場と同じ状態がその時まで続くという前提で、上がるかどうかを考えます。
仮にその時に地合いが悪くなっていれば、決算がよくてもければ株価が上がらない可能性があります。地合いがよければ期待以上に上がるかもしれません。その影響は読めないので、予想しないというのが基本的な考え方です。
――自分の力でコントロールできないことは気にしても仕方がないということですか。
結局、日本の相場は米国市場次第のところがありますし、米国市場がこれからどうなるか正確に予想することもできないですよね。いまのように新型肺炎が心配されている時は市場がパニックになる可能性を考えて多少はポジションを調整しますが、通常の市場であれば、地合いが良くなることもあれば悪くなることもあります。どちらもあり得ると思うので、市場全体の上げ下げはあまり考えていないのです。
次回はテスタさんが考えるトレーダーとしてのこれからに迫ります。
※本稿は、2020年2月16日に開催された松井証券主催の株式セミナー「利益35億円トレーダー テスタさんに聞いてみた 相場で勝つためにしている○○のこと」でテスタ氏が講演した内容と、講演前に行った個別取材の内容を再構成して編集したものです。