はじめに

巧妙な3つのグループ分け

先日、私がテレビにコメント出演した際、海外から詐欺電話をかけた男のインタビューが流されました。その組織では、3つのグループに分けて詐欺の電話をかけていたといいます。

1つ目のグループは、詐欺のアポイントをとるための電話をかけます。警察を騙り「詐欺犯を逮捕したら、あなたの名簿と口座が出てきた」「不正に金が引き出されています」といって相手を脅します。

2つ目のグループは、その話を信じた人をさらなる罠にはめます。銀行関係者になりすまして電話をかけ、「キャッシュカードを新しいものに変えましょう」と呼びかけます。相手から口座や暗証番号を聞き出し、カードを騙し取る算段をとりつけるのです。

3つ目のグループは、日本にいる「受け子」といわれる組織に連絡を取り、ターゲットの情報を伝えます。

このように、詐欺グループは、海外だけでも3つの役割に分けて犯行に及んでいました。自らの役目に専念させることで、その行為のスペシャリストになって、相手を騙す。まさに詐欺の効率化を図っているのです。

最終段階が「詐欺の要」

この3段階のうち、どこが一番重要なポジションかわかるでしょうか?

答えは、3つ目のグループです。最初に配属されるのは、1つ目のグループです。騙しの電話に慣れてくれば2つ目、3つ目のグループに上がり、お金の取り分も増えていくそうです。その理由は、1つ目の電話は何度失敗してもよいからです。とにかく多くのターゲットに当たればよいので、さほど経験を要しません。

それに対し、最終段階となる3つ目のグループは、失敗することが絶対に許されません。

ターゲットになった人の名前、住所、詐欺をどのような経緯で信じているのか、キャッシュカードを何枚持っているか――これらを漏れなく相手に伝えなければなりません。これまでのすべての準備を無駄にできませんから、3つ目のグループが「詐欺の要」になっています。

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