はじめに

東日本大震災よりも影響は甚大か

新型肺炎の感染は世界的に拡大しており、世界経済を牽引してきたアメリカでも、「感染が広がるかどうかではなく、いつ広がるかという問題」(米疾病予防管理センター)となっています。すでにカリフォルニア州では経路不明の感染者が確認され、ワシントン州を中心に複数の死者も出ています。

中国に続いて米国でも新型肺炎拡大に伴って景気が大きく落ち込むようなことがあれば、日本経済は内需・外需の主要ドライバーを喪失します。

日本国内でも感染が拡大しており、政府の「不要不急の外出は控えて」との呼びかけを受けて全国で会議やイベントの中止、出張、旅行の取りやめが相次いでいます。北海道では外出自粛要請も出されました。感染拡大防止のための公共工事の一時中止も実施されています。

さらに、厚生労働省は「対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が会話などで一定時間以上続き多くの人々との間で交わされるような環境に行くことをできる限り回避して下さい」と要請しています。

東日本大震災が発生した2011年春にも宴会や余暇活動自粛の動きが広がりましたが、政府の要請がある今回はより影響が大きい可能性もあります。実質GDP成長率は2019年10~12月期に続き2020年1~3月期も前期比で大幅なマイナスに陥り、2期連続のマイナス成長で景気後退となる可能性が高そうです。

最悪のケースでは、WHO(世界保健機関)によってパンデミックが宣言され、東京オリンピックの延期や規模縮小、無観客試合などの措置がなされる可能性も想定されます。今後も日本の景気のダウンサイドリスクは大きいと見ざるを得ません。

<文:ファンドマネージャー 山崎慧>

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