はじめに

利益は出なくてもマイナス幅を減らす方法

投資談義のなかで、もう1つ出た話があります。他のベテラン投資家は「売り」はやっていないけど、個別株でポートフォリオを組んでいるが、株価指数ほどは下落していないという話題です。

その投資家は投資している金額が非常に多く、かなり多くの銘柄数を保有していますが、彼のポートフォリオでは何が起きていたのでしょうか。

インデックス投資の弱点として指摘されることもありますが、インデックスに投資することは、そのインデックスを構成する全ての銘柄へ投資することを意味します。しかし、インデックスを構成する銘柄が多ければ多いほど、市場平均よりも大きく下がる銘柄にも多く投資することになってしまいます。

その投資家は基本的にはインデックスに近い動きをするようなポートフォリオを組んではいるものの、この局面で大きく売られそうなセクターに属する銘柄は早目にポートフォリオから外していたということでした。

たとえば、今回のコロナ問題について考えてみれば、小売業や観光業などは大きなダメージを受けることは容易に想像できるかと思います。そのようなセクターに属する銘柄を外して、その分の金額を他のセクターの銘柄に投資することで、より改善したインデックスを自分で作り出したと考えるとわかりやすいですね。このような作業を専門的に行って再構築されたインデックスを「エンハンスト・インデックス」と呼ぶこともあります。

資産形成の基本を忘れるべからず

さて、「売り」や「エンハンスト・インデックス」など、これまでの記事では触れてこなかったような話をしてきましたが、前述の通り、必ずしもこれらを推奨しているわけではありません。この連載はあくまで投資未経験者や投資初心者に向けたものですから、「そういうものもあるんだ」という気づきがあれば十分です。
将来のために資産形成をすることが目的ですから、長期目線で投資対象を十分に分散し、機械的に積み立て続けるという基本を忘れないようにしましょう。

毎日のように株式市場が乱高下していると、ついつい相場の動きが気になるのはわかりますが、基本に立ち返ればこんな時でも相場を見ないぐらいのスタンスが正しいはずです。

あくまで投資は人生においては脇役であり、主役になるべきものではありません。目まぐるしい相場展開に惑わされず、基本に忠実な投資行動を心掛けましょう。

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