はじめに

ひと昔前まで、家は「一生に一度の買い物」でした。しかし、現在ではライフステージの変化に合わせ、その都度、最適な住まいに買い替えていくケースも珍しくありません。

そのため、住宅を購入する際には、いつか売ったり貸したりする可能性を見据えて物件を選ぶことが、これまで以上に重要になってきました。そこで今回は「将来、より高く売却、あるいは貸せる家選び」のポイントを解説したいと思います。


「半投半住」を意識した家選び

これまで、マイホームは自分たちが住むために購入するものでした。現在では、そこに投資目的の目線が加わり、投資が半分、居住が半分というスタイルが広がりつつあります。

特に、都市部のマンションを購入する際には、ゆくゆく売ること、もしくは賃貸として貸し出すことを前提として物件を選ぶ意識が高まってきました。SUUMOでも、この「半投半住(半分「投資」、半分「居住」)」の動きに着目し、さまざまなメディアを通じ発信しています。

では、「半投半住」を意識した場合、どのような物件を買うのが望ましいのでしょうか。最大のポイントは立地です。

最も資産価値が高い(=高値で売りやすく、貸しやすい)のは、大きなオフィスビルがあるターミナル駅からアクセスのいいエリアで、かつ最寄り駅から徒歩5分以内の物件です。特に、駅直結もしくは駅徒歩1~3分の物件は極めて出現確率が低いため、その希少性から高値で取引されやすい傾向があります。

こうした物件は、築年数による価格変動の影響を受けにくいのも特徴です。従来の日本の住宅は、年数を経過するにつれ、価格が下落していくのが通例でした。しかし、今は立地次第で、ほとんど下がることなく取引されるケースが増えています。

欧米では、好立地の住宅は築年数を経過するごとに、むしろ値段が上がっていく傾向にあります。日本も都市部に限っては、状況が似てきたといえそうです。

立地次第で中古マンションも選択肢に

また、立地条件に恵まれていれば、中古という選択肢も検討したいところです。

というのも、新築マンション価格はどんどん上昇し続けていて、2013年時点と比べると1.3~1.5倍に跳ね上がっています(2020年1月時点)。これは建築費の高騰や、用地の仕入れ価格高騰など複数の要因によるもので、好立地の物件はかなりの高所得者以外は手が届かない水準にまで達してしまいました。

これまでであれば、次点の選択肢としては「駅から離れた新築マンション」や「郊外の新築マンション」というのがセオリーでした。しかし、これからは「築年数が古くても、なるべく利便性の高い立地で選ぶ」という視点も持ったほうがいいと思います。

中古物件を選ぶ際に着目したいのが「管理の状態」です。特に、築年数が古ければ古いほど、その状態はマンションによって大きく差が出ます。

たとえば、共用のエントランスホールがきれいにリニューアルされているかどうか。床のタイルが張り替えられ、玄関ポストも刷新されているようなマンションは、「入口の印象が大事」なことを管理組合が理解しており、資産価値を意識して手を入れていることが読み解けます。

ほかにも、ごみ置き場や駐輪場の整備状況、共用部の掲示板などにも、住人の意識は表れます。張り紙で注意勧告が多いマンションは危険ですし、逆にイベントの告知などが充実していれば、住人たちの仲の良さ、生き生きとした交流が図られていることがわかり、プラスにとらえることができます。

ですから、いくら立地が良くてもそれだけでは選ばず、一度は必ず現地を訪問してみましょう。その際には、同じエリア、同じ築年数のマンションを複数訪問して、相対的な評価を見定めるのがいいかと思います。

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