はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、住宅ローンを完済し、教育費の確保もできたというアラフィフ共働き夫婦。これから老後資金を準備するにあたりアドバイスがほしいといいます。FPの薮内美樹氏がお答えします。

住宅ローンの返済が終わり、子どもの学費も確保できました。これからは老後の準備をしたいと思っています。老後資金のアドバイスをお願いします。

退職金は二人合わせて手取り2000万円以上はあると思います。個人年金は、夫が60歳の時700万円になります。70歳まで年間70万円受給する予定です。夫婦の生命保険料が引き上がる時期だったので、子どもの学費も確保できたため、死亡保障を夫1800万円、妻1200万円に下げて、月々の保険料を2万8000円に抑えました。今までは、夫の死亡保障4500万円、入院1万円、手術や先進医療保障有で、妻はその半分の保障でしたが、死亡保障を下げてよかったのか不安に思っています。

また今後、親の介護が必要になってくるかもしれません。妻は公務員で薬剤師の資格があるため、介護との両立が難しくなれば、パートに切り替えようかと考えています。大学2年生の上の子は私大の薬学部に在籍していて、6年間で約1200万円の学費が必要です。残り800万円必要になります。下の子は県立高校へ進学する予定です。

〈相談者プロフィール〉
・男性、49歳、既婚(妻:46歳、公務員)
・子ども2人:20歳(私大・薬学部)、15歳(中学生)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・毎月の手取り金額:58万円
・年間の手取りボーナス額:300万円
・毎月の世帯の支出目安:47万円

【支出の内訳】
・住居費:なし
・食費:10万円
・水道光熱費:なし(太陽光発電で黒字)
・教育費(年間):200万円+15万円
・保険料:5万円(夫婦の生命保険、個人年金、下の子の学資保険※満期250万円)
・通信費:3万円(携帯4台、タブレット、Wi-Fi、ケーブルテレビ)
・車両費:3万円(車2台、大型バイク1台)
・お小遣い:7万円(夫婦と下の子合わせて)
・その他:3万円(医療費など)
※固定資産税:年間15万円

【現在の資産状況】
・毎月の貯蓄額:10万円
・年間ボーナスからの貯蓄額:200万円
・現在の貯蓄総額:500万円、子どもの学費2人分2000万円
・現在の投資総額:年間20万円積立、現在の残高1000万円、配当金年間20万円
・現在の負債総額:なし

薮内: 住宅ローンを完済し、教育費の準備も終えられ、あとは、老後の資金準備を残すのみですね。かなりお気持ちは楽になられていることかと思います。

ただ、将来、親の介護が必要となった場合、奥様の収入が大幅に減少する恐れがあることや、節約のために生命保険の保障をカットしたものの、万が一の場合、本当に大丈夫なのかなど、不安は尽きないご様子です。

今回のご相談者の場合、「生活費」にフォーカスをあててみると、色々なモヤモヤが解消できそうです。

まずは支出を「生活費」と「教育費」に分類する

教育費に関しては、学資保険の満期金を含め、すでに2250万円は準備済みです。下のお子様は、高校は公立、大学は仮に、上のお子様と同じ私大の薬学部に進学されたとしても、これだけあれば十分、賄えそうです。

では、いったいどれだけ生活費に使っているのか確認してみましょう。まず、年間の収支をみてみると、世帯の手取りは996万円、貯蓄に回っているのが320万円なので、年間の支出は676万円ということになります。このうち、教育費は215万円なので、生活費は461万円ということになります。

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