はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、上の子に続き、下の子も私立中学に進学させたいという40代主婦。上の子が希望する薬学部の教育費や夫婦の老後に備えて、今できることが知りたいといいます。FPの氏家祥美氏がお答えします。
また退職金がないため、老後の生活が不安です。子どもの教育費や老後に備えて、今のうちからできることが何なのか知りたいです。
<相談者プロフィール>
・女性、43歳、既婚(夫:43歳、会社員)
・子ども2人:12歳(中1)、8歳(小3)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・毎月の世帯の手取り金額:45万円
・年間の手取りボーナス額:150万円
・毎月の世帯の支出目安:45.5万円
【支出の内訳】
・住居費:5万円
・食費:5万円
・水道光熱費:2万円
・教育費:10万円
・保険料:学資保険10万円※、養老保険3万円、生命保険1.5万円
・通信費:2万円
・車両費:1万円
・お小遣い:3万円
・その他:3万円
※長女18歳時に1200万円、次女18歳時に900万円受け取る予定
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:1万円
・年間ボーナスからの貯蓄額:120万円
・現在の貯蓄総額:500万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:1000万円(住宅ローン:借入額1780万円、金利0.975%、返済期間35年)
氏家: 今回は、お子さんの「薬剤師になりたい」という夢をかなえてあげたいご夫婦からのご相談です。子ども2人を中学校から私立に進学させて、そのうち1人を薬学部に進学させても老後は成り立つのかを、一緒に考えていきましょう。
学資保険で手厚く準備、子ども2人の教育費
ご相談者さんは、お子さん2人分の学資保険に加入しています。長女が18歳時に受け取る満期金は1200万円、次女が18歳時に受け取る満期金は900万円と、他の家庭にくらべて手厚く教育費準備をされています。
1200万円を18年間(216ヵ月)で貯めるには、1ヵ月あたり5.55万円、900万円を貯めるには1ヶ月あたり4.17万円が必要です(概算のため金利を考慮せず)。5.55万円+4.17万円=9.72万円となり、ご相談者さんはこの約10万円を二人分の学資保険の保険料として毎月家計から捻出しています。
長女が18歳を迎えると1200万円の満期金を受け取ると同時に、月額5.55万円の積立が終了します。同じく、次女が18歳を迎えると900万円の満期金を受け取ると同時に、月々4.17万円の積立が終了します。
学資保険からの満期金で大学資金が捻出できれば、学資準備から解放されることになります。
薬学部6年間の学費は「1200万円」
私立大学薬学部の学費は、その他一般的な理系学部よりも高く、医学部や歯学部よりは低い相場となっています。
進学支援サイトの学費ランキングや、各大学のホームページ等から学費を調べたところ、大学によってばらつきがありますが、1年間の学費が200万円前後、入学金を加えた初年度納入金は250万円前後が目安になりそうです。年間200万円×6年間=1200万円と考えると、学資保険の満期金1200万円で6年間の学費はなんとか賄えそうです。
このほか、大学に納める入学金、受験費用、教科書代などの必要経費はまだ含まれていないので、100~300万円程度を上乗せして考えておきましょう。