はじめに

プライベートな宿泊形態をより好む傾向へ

ポスト新型コロナにおいて、フランスの人々の休暇の過ごし方は、どのような動きになっていくのでしょうか。

上述のレゼコーでは、ドイツのコンサルティング会社ローランド・ベルガーのアンケート結果を引き合いに出し、人々は国内に、そして家族や両親の家など「商業的ではないもの」を重視するようになるだろうと述べています。

さらにレゼコーは、「別荘などの他にAirBnBなどで部屋を借り、不特定多数の人との接触機会と滞在施設内における密度を、より低く抑える手段が取り入れられていくだろう」とも予測します。

新型コロナウイルス流行以前の近年の旅行傾向は、UNWTOの統計によれば「地元の人たちと同じように暮らし、本物の体験を訴求し、自分を変える」「インスタ映えする瞬間・体験・デスティネーション」「ウォーキング、ウェルネス・スポーツツーリズム」「シェアリングエコノミーの拡大」でした。

レゼコーが述べる「不特定多数との接触を減らす」「密度を低く保つ」という観点も含め、ポスト新型コロナでは、他者との接触を意識しつつも滞在型の休暇がより加速すると見られます。

海外旅行はいつから可能か

ツアーなどを催行する旅行会社にとっては、旅行者以上に回復までの道のりは複雑です。現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止から、国内外で多くの観光施設が閉鎖されているからです。

フランス国内においては、大きな美術館、博物館、映画館、コンサートホールなどは5月11日以降も引き続き閉鎖。大型フェスティバルやスポーツイベントなどは9月まで開催されず、サッカーの2019-2020シーズンも再開されないことが、4月27日のフィリップ首相の発表で伝えられました。

ルーブル美術館観光客がいないルーブル美術館

フランス国外の観光地についても、多くの場所で閉鎖が続いています。各地へのフライトの減便と旅客輸送の容量の問題もあります。

フランスの旅行会社ボヤジャー・デュ・モンド社長のジャン・フランソワ・リアル氏は、レゼコーの取材に対して「新型コロナウイルスに対するワクチンができるまで18ヵ月はかかるだろう」と述べ「新型ウイルスの事象がなくなることが、海外旅行が真に再開するための解決策」と語っています。

ムーラン・ルージュ閉鎖で閑散とするムーラン・ルージュ

そして今後3~5年については「移動が穏やかになり、頻度は減るが滞在期間が長くなる」と予測します。

段階的な外出制限緩和措置とその後の世界にいかに対応すべきか、状況に応じた柔軟性がより問われそうです。

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