はじめに

日経平均株価やNYダウなど、先進国の株価指数はコロナショックによる大幅下落の底から、半値ほど値を戻しました。日本では新興市場である東証マザーズ指数は早くもコロナショック前の水準に戻っており、原油相場も20ドル台まで回復しました。

アジアを中心に感染者数も減少傾向にあり、台湾や韓国では徐々に新型コロナウイルスの問題が発生する前の日常に徐々に戻り始め、欧米でも今月半ばから来月にかけて経済を正常化させていくとしています。このタイミングで今回のコロナ相場から学ぶべきことをまとめてみましょう。


急落の予兆はあるが予想できない

新型コロナウイルスが日本でも本格的に意識され始めたのは1月下旬頃からでしょうか。同月28日に初めて日本人の感染者が確認され、翌29日には武漢からのチャーター機が羽田に到着しました。しかし、実際は昨年12月に原因不明の肺炎が武漢で確認されており、大晦日には中国当局からWHO(世界保健機関)へ報告があり、台湾政府はこのタイミングで武漢からの航空機に対して検疫を行っていました。

振り返れば相場が大きく反応する前に、予兆があったことは事実なのですが、ここまで相場が大きく下落すると正確に予想することは誰にもできなかったでしょう。

コロナショックと比較されることの多いリーマンショックも、08年9月にリーマンブラザーズが破綻したことがキッカケになりましたが、前年から米国の住宅市場では既に予兆は表れていました。

言いたいのは、相場が大きく下がる時には予兆があるので予想して動きましょうということではなく、予兆があってもいつ相場の急落に繋がるかはわからないのです。おそらく、また近い将来、急落が起こるでしょう。そして、急落後に振り返ってみれば、あの時に予兆が出ていたという話になるのです。いくら予兆があっても、相場の急落が予想できないのであれば、相場の先読みをせずに済む投資方法が必要になります。

下落局面でのつみたてが重要 

相場の先読みが必要ない投資方法といえば、つみたて投資が挙げられます。つみたてNISAやiDeCoなどの誕生により、つみたて投資を始める個人投資家も増えました。しかし、今回の急落で新たなにつみたてNISAやiDeCoで投資を始める人が増えた一方で、やめてしまった人も多かったようです。今回の急落は筆者も見たことのないスピードで株価が下落していったので、怖くなってしまってつみたて投資をやめてしまった人の気持ちもわかります。ただ、下落局面でこそ淡々と積み立てていかなければ、つみたて投資の果実は得られません。

金融庁が公開している『つみたてNISA早わかりガイドブック』のなかで、定額のつみたて投資について下図のようなグラフを紹介しています。

定額の積立投資なら安いときに多く購入ができる

以下のような値動きの場合に、投資信託を最初に4万円分かったときと、4ヵ月間、毎月1万ずつ定額で買ったときを比べる
1金融庁『つみたてNISA早わかりガイドブック』を参照し編集部作成

つみたて投資の場合、毎月一定の額を定期的に投資することになりますが、投資する時の投資対象の金額が安ければ安いほど、多く投資できる訳ですから、実は相場が下落した時ほど平均投資単価を下げられるチャンスなのです。

相場がずっと右肩上がりの時の方が、投資家にとっては精神衛生上好ましいのですが、つみたて投資を始めてから相場がずっと右肩上がりになってしまうと、ひたすら平均投資単価が上昇していき、相場の下落が来ると大きく含み損が出てしまいます。

相場というのは一方方向に動き続けるのではなく、上下に波を打っていますから、感情を殺して機械的に淡々と続けることが重要です。

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