はじめに

シェアリング・エコノミーのこれから

2019年3月には、シェアライドに反対するタクシー400台が、監督官庁である経産省のまわりを囲む「デモ」をおこないました。*12 こうした経過もあり、配車サービスとしてのUberは、日本ではまだ導入がなされていないに等しい状況です(東京のごく一部でのみ、既存のハイヤー車両とプロのドライバーによる試験的Uberサービスが実施されています)。シェアライドが解禁されないあいだに、一部の日本のタクシーアプリは、ウーバーの機能をほぼ実装しているようにも見えます。

1年延期された2021東京オリンピックを見に来た外国の方々は「え、東京ってUberもLyftもないの?」とびっくりするかもしれません。

現代の都市では、移動、宅配、あるいは技能・知識などをめぐり、従来の産業では対応しきれない一定の様々なニーズがあります。他方、スキマ時間に自分のスキルを活かし副収入を得たいという人々もまた一定数存在しています。それらをマッチングするプラットフォームは、今後もなくなることはないでしょう。

「自由と安定というトレードオフをどう両立させるかは、ギグワーカーやフリーランスにとって永遠の課題」との意見もあります。*13 新自由主義経済における、労働の未来を占うひとつの領域がシェアリング・エコノミーなのでしょう。「Uberはニューエコノミーのシンボル、つまり、デジタル・カルチャーがいかに仕事の本質を変えようとしているかを示す、強力なケーススタディなのだ」。*14 日本においても、シェアリング・エコノミーの賢い安全な活用を模索すべき段階に既に入っていると言えるでしょう。

*12 https://times.abema.tv/posts/5848829
*13 『日経ビジネス』2019年12月16日号、p. 61。
*14 ローゼンブラット、前掲書。

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