はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、直近は多くの国で制限が緩和されている一方で、ブラジルなど中南米で感染者増が顕著になるなど、二極化が鮮明になってきました。

また、アジア新興国においても、回復の兆しが出てきた国がある一方で、いまだに感染者増加が懸念されている国もあります。明暗がはっきり分かれてきたアジア新興国の現状について考えてみます。


アジア新興国の状況はほぼ二極化

世界的に新型コロナウイルス問題がなかなか収束しない中で、その影響度によって国ごとの格差がはっきりと出てきました。その格差が特にはっきりと表れてきているのがアジア新興国です。

アジア新興国はもともと中国との関連が強いのが特徴のひとつですが、ここ1、2年のあいだに、中国経済の減速、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス問題と悪材料が立て続けに起きた中で、先進国以上にダメージを受けている状況です。

年初あたりの時点では、各国ともにほぼ横並びで低迷していましたが、3月後半あたりからかなり格差が広がりつつあります。あえて分類するとすれば、「明」の方に分類されるのが、「中国、台湾、ベトナム」で、「暗」に分類される国としては、「インド、フィリピン、インドネシア」が挙げられます。

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このうち、「明」に分類される国では、直近多くの制限が解除されており、月次の経済指標や工場の稼働状況などからみても、経済活動の正常化が明確になりつつあります。実際、中国では鉱工業生産指数、製造業PMI指数など、多くの経済指標はここ数ヵ月で明らかに改善しています。

また、もうひとつがベトナムです。5月末時点でのベトナムにおける新型コロナウイルスを原因とした累計死者数はゼロで、「コロナ封じの優等生」と評価されています。直近、4月、5月には2度にわたって移動制限などいくつかの規制が緩和・解除されました。ベトナムでも経済活動は平常時に戻りつつあるといえます。

<写真:ロイター/アフロ>

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