はじめに

優待、コロナ、値動きが大きい銘柄に分散

では、投資未経験者だったビギナー層は、暴落の中でどんな銘柄を買ったのでしょうか。

引き続き松井証券のデータを参考にすると、株価が上昇トレンドに変わった3月と4月に買われた銘柄群(売買代金上位)から3つのパターンが浮かび上がります。

未経験

1つは、優待・高配当銘柄です。売買代金でトップとなった日本航空(9201)がその代表格といえるでしょう。日本航空の株価はコロナショック前は3,000円以上でしたが、3月から4月には2,000円割れ水準まで下落。割安感が増し、3月最終日の株主優待でJALグループの株主割引券が獲得できることなどが買われた要因といえます。

同様の理由でANAホールディングス(9202)や、高配当銘柄のオリックス(8591)と武田薬品工業(4502)も買われ、それぞれ売買代金のトップ10に入っています。

2つ目はコロナ関連です。上位銘柄では、治療薬の思惑で富士フイルムホールディングス(4901)や新興市場のアンジェス(4563)、テレワークや自粛関連でブイキューブ(3681)や出前館(2484)などが買われました。

3つ目は値動きが大きい銘柄で、日経平均レバレッジ上場投信(1570)やソフトバンクグループ(9984)なども買われました。

一方、以前から口座を持っている既存の投資家はどんな銘柄を買ったのでしょうか。

そのほか

売買代金のトップ2は前述した日経平均レバレッジ上場投信(1570)とソフトバンクグループ(9984)で、株価回復のトレンドの中で大きなリターンを狙いにいった様子が伺えます。

また、その他の上位銘柄としては、任天堂(7974)、ファーストリテイリング(9983)、ソニー(6758)、トヨタ自動車(7203)、東京エレクトロン(8035)、(株)オリエンタルランド(4661)などがあります。

ビギナー層の購入銘柄が優待・配当銘柄やコロナ関連銘柄などに分散していたのに対し、既存の投資家の購入銘柄は値嵩株(1単元あたりの購入価格が高い銘柄)や出来高が多い大型株に集中する傾向が見られました。

6月上旬の時点では、ランキング上位に入った銘柄はいずれも値上がりしています。

また、吉澤さんによると、ビギナー層の「3、4月の確定利益はプラスで、以前から口座を持っている投資家よりも成績がよかった」そうです。
コロナショックは株を始める人にとって絶好のタイミングになったといえるでしょう。

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