はじめに

日本は「企業人権ベンチマーク」で世界に遅れ

人権対策はリスク対策に留まらず、成長のチャンスにもつながっています。資本市場からの評価を通じて人材の確保が容易になり、企業の成長戦略に関わってくるためです。

人権問題は経営問題だとして、世界的な大手機関投資家は人権NGOと共に「企業人権ベンチマーク(CHRB) 」を設立、2019年11月に第4回となる企業の人権格付を発表しました(下図)。

調査対象は、人権リスクが高いとされる農業製品、アパレル、資源採掘、電子機器に属するグローバル大手企業195社。古くから鉱山労働者対策などを講じてきた資源採掘企業は総じて高めの格付けを得ています。

一方、日本企業は対象が前年調査の2社から18社に増加しましたが、その平均は16%とグローバル平均(24%)を下回りました。サプライチェーン問題などに早くから取り組んだファーストリテイリング(47%)やイオン(29%)は、グローバル平均を上回っています。

日本でも今夏「ビジネスと人権」原則公表予定

国際的な人権問題への対応に遅れが見られる日本企業ですが、政府は今年1月、「ビジネスと人権に関する我が国の行動計画(NAP)」の原案を発表し、今年半ばをめどに公表を予定しています。

これは2011年に国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に基づく国別行動計画で、すでに欧米諸国を始め22ヵ国が策定しています。日本でもNAPが策定されれば、企業は人権問題に本腰を入れて取り組むことになるでしょう。