はじめに
税金の申告には無縁の人でも、5月・6月の住民税決定通知書や自動車税の納税通知書を目にすると、今年の納税額にため息が出てしまいますね。所得税にくらべるとわかりにくいと感じる住民税ですが、保育料や国民健康保険料、介護保険料の算定には住民税額で判断され、税金以外のところに波及します。
住民税は、行政サービスに必要な経費を収入に応じて分担する性質のものです。時には隣の市区町村は、住民税が高いなどというウワサを耳にすることもあります。今回は住民税の疑問を明らかにしていきましょう。
■住民税の概要
■住民税は区や市で違う?
■毎年6月から変わる
■ふるさと納税が引かれているか確認するには
住民税の概要
住民税には、都道府県が課す道府県民税(および都民税)と市区町村が課す市町村民税(および特別区民税)があり、それを総称したものを住民税と呼んでいます。
個人の住民税は、所得税に連動して課税されるため、その年の所得により計算され、翌年の住民税が決まる仕組みが取られています。また、住民税の納付先は、1月1日現在に住んでいる都道府県・市区町村に納付されることになっています。
住民税は、所得の金額に応じて納める「所得割額」と一定以上の所得がある人に決まった額を課す「均等割額」の2つによって構成されています。
税率は、地方公共団体によって、独自の裁量により制限税率の範囲内で「所得割」「均等割」とも税率を設定して課税してもよいことになっており、大半の自治体は標準税率によることが多くなっています。
所得割の税率は10%で、原則、市区町村税が6割、道府県民税が4割です。しかし、政令指定都市20市においては、市区町村税が8割、道府県民税が2割と配分率が異なっています。
均等割は、東日本大震災からの復興を図ることを目的として、2014年~2023年までは増額されており、標準税額は、道府県民税が1500円、市区町村税が3500円になっています。
住民税は区や市で違う?
住民税の決まり方には、所得割と均等割の2つがありますが、税金の金額にはその自治体の裁量によって、わずかですが差があります。
都道府県税が高い県の第1位は、宮城県です。みやぎ環境税があり、1200円上乗せされて、2700円です。その他の都道府県では、500円~1000円程度の上乗せで、森林環境税などの名称で都道府県民税が標準の1500円より高くなっている自治体があります。
次に市区町村税を見ていきましょう。住民税が高い自治体に兵庫県豊岡市があります。市民税の所得割が6.1%、県民税の所得割が4%です。都市計画税を廃止したため、平成21年度から超過課税を採用しているようです。市民税均等割は3500円、県民税均等割は2300円です。兵庫県では、県民緑税が賦課されています。
さらに横浜市の場合を見てみましょう。所得割の税率は、市民税8%、県民税2.025%です。均等割では、市民税4400円、県民税1800円で合計6200円です。これは、横浜市で「横浜みどり税」、神奈川県で「水源環境保全税」を実施しているために上乗せされているからです。
一方、住民税が安い市区町村もあります。たとえば、名古屋市の場合、所得割の税率は市民税7.7%、県民税2%で合計9.7%です。均等割では、市民税3300円、県民税2000円です。県民税のうち500円は「あいち森と緑づくり税」です。
このように、均等割額については、地域差が大きいことがわかります。