はじめに

消費が拡大する「下沈(シャア・チェン)」市場

また最近、中国のビジネス界で注目されているキーワードに、「下沈(シャア・チェン)」という概念があります。これはプロダクトやブランドが従来ターゲットとしている客層のひとつ下の利用層や、地域にて事業を開拓する事を指します。

ネット通販の伸び率が低下するなか、中国のネット通販会社を含むIT大手企業は、それぞれターゲット層の見直しと地方への事業進出を図っています。今後も発展余地が大きい「下沈(シャア・チェン)」市場の需要掘り起こしを、ネット通販各社は一段と本格化させるとみています。今年11月の「独身の日商戦」も、この「下沈」市場のシェア獲得に各社はしのぎを削るとみています。

中国のネット通販の市場規模と伸び率

株価動向から見えてくる市場シェア変動

投資家の間では、業界最大手のアリババの市場シェアを同業下位の企業が奪うと見込んでいるようです。それは株価の値動きが如実に語っており、アリババの株価は年初来から6月19日までの間、4%高にとどまっている一方、JDドットコムは約7割上昇、拼多多(ピンドォドォ)は2倍以上に膨らんでいます。

株価が急騰したことによって拼多多の創業者である黄崢氏の保有資産は454億ドルに達し、アリババ創業者の馬雲氏を上回り、40歳で中国2位の富豪(トップはテンセントの馬化騰CEO)になったと、米経済誌『フォーブス』は報じています。

SNS型のECを展開する拼多多は低価格路線で、地方都市・農村部での成長に有利な状況にあります。また、テンセントの出資を受けている事から、ウィーチャットを通じて、まとめ買いや値下げ要請を可能とするサービスが、「下沈」市場での強みに繋がっているとの指摘もあります。

ただし、収益性の向上という課題が解決できなければ、拼多多にとってはマイナスに働きますので、この点は注意を払う必要があると思います。

<文:市場情報部 佐藤 一樹>