はじめに

一部の州に広がる第2波の懸念

また、同時に発表された米失業保険継続受給者数の内容をみると、失業保険受給者数の減少が鈍化・ストップしています。2か月連続の事前市場予想よりも強い結果となった米雇用統計ですが、この先を考えると、手放しでは喜べないかもしれません。

また、サンベルト中心に米国の一部の州では、COVID-19感染拡大「第2波」懸念が出てきています。その中の一部の地区では、ビーチの閉鎖やバーやジム、劇場の営業停止、夜間外出禁止令なども発表されています。8月に発表される7月分雇用統計への懸念は、今後強まっていくかもしれません。

(出所)米労働省発表データより大和証券作成

米6月雇用統計を受けての為替市場はどう動いた?

米6月雇用統計を受けた後の為替市場は、ほぼ「無風」でした。予想より強い数字で、前月分の上方修正があったにもかかわらず、なぜ為替市場はほとんど動かなかったのでしょうか。

第1の理由としては、データの正確性に疑念があったからではないかと考えています。前回の記事で紹介しましたが、5月の雇用統計発表時に、米労働省から下記の補足説明が出ていました。

6月5日米労働省「データが正確に報告されていれば、5月の失業率は発表数値より『3ポイントほど高かったであろう』。他の理由で仕事を休んでいるが雇用は続いていると記録された一部の労働者が、一時解雇による失業者に分類されていない」

つまり、今回の6月分が発表される段階で、5月分に大きな修正が加わる可能性も考慮に入れなければいけなかったので、6月分の速報値ヘッドラインに素直に反応することができなかったのではないでしょうか。米労働省がオフィシャルに認めた、正確性への疑念がある米指標に反応することができる真っ当な投資家がいるとは思えません。

そのために、市場反応が乏しかったのではないかと思います。一部反応したのは目先売買中心の人たちだけでしょう。なお、この点に関して米労働省は今回、以下のように補足しています。

7月2日米労働省「過去数カ月の統計では、失業者とみなされるべき多くの回答者が、雇用されていると誤って分類される問題が生じていたが、今回、この問題をおおむね修正した」

第2の理由は

第2の理由としては、7月3日が、建国記念日(同4日)による振替休日となり、週末3連休を前に、日本人に比べてメリハリのあり過ぎる米国勢が、新たなリスクやポジションを取りに行く行動を控えたからではないかと考えています。個人的には、米雇用統計で売買してやろうと構えていたのは日本人くらいだったのではないかと思います。

「休むも相場」、「週末は家族・恋人と有意義な時間を過ごす」というスタンスが日本人にも必要かもしれません。

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