はじめに

プライベートでは極力人と接触しない

──ネガティブな影響は諸々あるものの、レスペランスさんの場合クライアントがゼロにはなっていません。感染症対策はどうされていますか?

障害者を専門とする私は、セックスワーカーとして特殊だとは思います。特殊である分、安定した顧客もいます。

ただ、クライアントが障害者であるということは、彼らは身体が弱く新型コロナウイルスの犠牲になる確率が高いわけです。感染症対策には細心の注意を払っていますし、仕事で接触がある分、仕事以外の場面、つまりプライベートでは極力人と接触しないように注意して、クライアントの安全を守るよう心がけています。

反対に、障害者に対する政府の新型コロナウイルス対策には不満を感じます。新型コロナウイルスに限らず、他の感染症が流行した時も政府は十分なケアを行わず、彼らを死ぬがままにさせたような側面がありました。

──セックスワーカーとして、今後の展望をどのように見ていますか?

現時点は新型コロナウイルスの影響で一時的にニーズが減っていますが、先ほども述べたとおりこの仕事が社会からなくなることはありません。今現在苦境に立たされているセックスワーカーのためにも、また今後私たちが他の職業に従事する人と同じ権利を持って仕事を続けてゆくためにも、この買春の非犯罪化を実現させたいと思います。つまり、2003年にニュージーランドが世界で初めて採用した政策を、フランスも導入するということです。

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「どうぶつの森」上でのデモ

非犯罪化によって、正社員として働きたい人はそうできるようになりますし、ホテルから拒否されるとことなどもなくなり、安全な環境で働けるようになります。多くの科学的な調査結果が、健康を守りHIV感染を抑えるもっとも有効な手段は非犯罪化であると説明してもいます。まずは非犯罪化を実現する。これがセックスワーカーの抱えるあらゆる問題を解決するための、最初の一歩なのです。

Keiko Sumino-Leblanc / 加藤亨延

■シベル・レスぺランス
エスコートガール。カナダ出身、30代女性。スイス国境に近いサボワ地方在住。障害者専門のエスコートガールとして2年になる。この仕事を始める前に、障害者の性に耳を傾けるアソシエーションAPPASで研修を受けた。8年前カナダでエスコートガールの仕事を始め、4年前にフランスに移住した当初は英仏バイリンガルの技能を生かしwebマスターを2年間務めた。2020年4月、性労働者協会連合ストラス(STRASS)会長に就任。セックスワーカーの地位向上のために、SNSを通じた広報活動を英仏2カ国語で行っている。HIVアソシエーションAIDESのボランティア活動にも参加している。

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