はじめに
ブラフをかます。これは詐欺におけるテクニックのひとつですが、ハッタリをきかせて、お金を騙し取るという単純なものではありません。それだけを考えていれば、騙されてしまうことでしょう。今、しりとり型の詐欺が横行しています。
詐欺師グループの巧妙な手口
高齢の女性宅へ孫を装った男から電話がありました。
「おばあちゃん、コロナの影響で、仕事が減ってしまい、お金に困っているので貸してもらえないかな」
しかし女性はすぐに詐欺と見抜きました。というのも、女性には孫がいなかったからです。さっと、電話を切って、難を逃れました。
数日後に、警察から電話があります。
「不審な電話はありませんでしたか?」
女性が、先日、孫を装った男から電話があったことを伝えたのでしょう。
「それは、詐欺の電話です。今、騙されたフリをして、犯人を逮捕する、騙されたフリ作戦を行っていまして、協力してもらえませんか?」と言われて、女性は捜査に協力することにしました。
そして女性は騙されたフリをして宅配便で指定された場所に150万円を送り、お金を騙し取られました。つまり、2度目に電話をかけてきた警察官も詐欺師だったわけです。
このように、詐欺を見抜かれたという結果の「しり」をとって、詐欺師たちは次の罠をしかけてくるケースは多いのです。これを、しりとり型詐欺といいます。
この手口は、2段階のブラフを使った詐欺といってもよいかもしれません。つまり、最初の孫を装った詐欺電話は見抜かれてもよいハッタリで、次こそが本命の詐欺だったわけです。
マジックショーなどでも、最初に行った手品の種がバレて「失敗した」と思わせておき、次に大きなマジックの演出をすることがあります。これをされると、予期せぬ展開に客の驚きはより大きくなります。同じように、詐欺師たちも2段階のブラフを使うことで、予期せぬ展開に相手を導き、確実に騙しのツボにはめることができるのです。