はじめに

保障内容は重大疾病互助プランと同等

中国では慢性病の患者がおよそ3億人いるとされていますが、「慢性病互助プラン」は以下のような疾患を抱えていても加入が可能となっています。

例えば、三高(高血圧、高血糖、高血脂)、心臓・血管系(心筋梗塞、先天性心臓病など)、脳血管系(脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー)、呼吸器系(喘息、結核など)、消化器系(十二指腸潰瘍など)、腎臓(慢性・急性腎炎、腎機能不全など)、関節(痛風、リウマチ、強直性脊柱炎など)、その他(血友病、骨髄炎症、精神疾患など)の疾患です。

ただし、これまで(現在も含む)悪性腫瘍、上皮内がん、脳または脊髄の腫瘍、上皮内新生物、肝炎、肝硬変、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、後天性免疫不全症候群などに罹患した場合は、加入が認められていません。

保障内容については、加入対象年齢、給付額の多寡、待ち期間、いずれとも重大疾病互助プランと同様となっています。加入対象年齢は生後30日から59歳まで、給付については生後30日から39歳までは30万元(約500万円)、40~59歳までは10万元(約160万円)、待ち期間は90日となっています。

高齢化とともに慢性病の重症化や長期化、合併症などの増加が考えられるので、40~59歳の給付を10万元とし、39歳までの給付の30万元より大幅に抑えています。加えて、60歳以降については保障の対象外としており、給付リスクを低減させています。

通常の保険商品で、健康リスクが高い人を対象としたがん保障となると、1人あたりの負担費用が高額化することも考えられます。しかし、この慢性病互助プランでは、年間1人あたりの負担費用に188元(年間)の上限を設けており、それ以上の場合は運営会社が補填をするとしています。限度額の188元を支払ったとしても、保険市場において加入できる保険商品は相対的に少ないでしょう。

相互扶助の仕組みを最新技術で進化

このように、相互宝では、高齢者や慢性病患者など需要に応じた商品の個別化を進めており、テーラーメイド型の商品を増やしています。これまで既存の民間保険商品では加入が難しいとされた健康リスクの高い人々を包摂し、さらに、ブロックチェーンやAIを活用することによって、費用負担の低額化に挑戦しようとしています。

P2P互助によって、本来最もサポートが必要とする人々に、本人も負担ができる低額な負担で一定程度の給付を提供するといった仕組みができつつあります。保険商品は相対的に高額負担・高額給付、P2P互助は低額負担・一定程度の給付といった保険商品との役割分担、共存の道も模索されています。

この記事の感想を教えてください。