世界中で新型コロナウイルスの「第2波」「第3波」が押し寄せ、一向に出口が見えない中、東南アジアの航空会社が悲鳴を上げています。

5月19日に、タイ政府は51%の株式を保有する(当時)タイ国際航空に対する支援を見送り、同社の事実上の経営破綻が確定しました。今年に入り、オーストラリアの航空大手のヴァージン・オーストラリアなど世界の航空会社が破綻に追い込まれていますが、ナショナルフラッグキャリアの破綻は同社が初めてでした。


タイ国際航空破綻の衝撃

タイ国際航空は当面のキャッシュフローを確保するため、4月に財務省に対して700億バーツ(約2400億円)の融資保証を要請していました。融資保証に関する基準を満たしていないとして一旦は却下されましたが、水面下で調整が進められていました。ほんの数日前までは、政府が同社の要請に応じるとみられており、世界に衝撃が走りました。

ただ、同社は2017年に21億バーツ(約70億円)の赤字に転落後、その額は膨らみ続け、2019年の損失額は120億バーツ(約410億円)に達するなど、近年は資金繰りが悪化していました。航空業界の競争激化に加えて、国営企業にありがちな放漫経営から経営が悪化していたところに、新型コロナ禍が追い打ちをかけたと言えるでしょう。

再建には最長7年

タイの中央破産裁判所が同社の会社更生手続きを受理し、同社は今後、同裁判所の管理下で、事業を続けながら再建が進められる見通しです。すでに政府は同社に対する出資比率を過半数未満に引き下げ、同社は国営企業から民間企業に転換しました。

現地では、飲料大手のタイ・ビバレッジやスーパーマーケット大手のビッグCスーパーセンターなど保有する大手財閥のTCCグループが出資に興味を示しているとの一部報道がありますが、再建完了には最長7年かかるとみられています。