はじめに
退職までの貯蓄可能額をざっと計算
最初に、ご相談者さんが今後貯蓄できる金額を考えてみましょう。ご相談者さんは共働きをしています。子どもを持つ予定は今後もなく、住宅購入の予定もありません。そのため、大きなライフイベント資金を考慮することなく、定年退職までのマネープランを考えることができます。
毎月の手取り月収が44万円なのに対して、毎月の支出は22万円。そのため、毎月22万円の貯蓄ができています。1年間で22万円×12ヵ月=264万円になりますね。さらに、ボーナスもほとんど使わず年間200万円の貯蓄ができています。そのため、1年間で464万円の貯蓄が可能です。
仮に60歳で定年退職をするとした場合、あと29年間働けます。給与の上昇や、暮らし向きの変化、運用益を考慮せず、単純計算した場合、今後、464万円×29年=1億3456万円の貯蓄を増やせる計算となります。
現在の貯蓄残高3000万円をあわせると、60歳時点で合計1億6456万円の貯蓄を手にできると考えられます。
何歳まで働けばいいのか?
老後資金を考えるうえでは、「何歳まで働くか」も大きな要素となります。60歳で定年を迎えてリタイア生活に入ると、5年間預貯金を取り崩して生活することになります。
一方で、65歳まで働くとした場合、収入を得られる期間が長くなり、かつ、老後の年金額も増やすことができます。貯蓄を取り崩して生活する期間を減らせるので、長く働くことはキャッフローの改善につながります。
先ほど、60歳時点で合計1億6456万円の貯蓄ができるという計算になりましたが、65歳まで働くとするとその間の貯蓄分が上乗せできます。さらに、勤務先からの退職一時金や企業年金があれば、ご相談者さんの老後資金はさらに増えることになります。
老後の生活費はいくら必要か
老後の生活費は、どこに住み、どんな暮らしをしたいかによってまるで異なります。まずは、現在の暮らしをベースとして考え、高齢になった時に増えやすい支出、減りやすい支出を調整していきましょう。
ご相談者さんご夫婦の現在の生活費は、月額22万円。家賃が13万円と60%近くを占めていますが、他の支出がとてもコンパクトに抑えられています。通信費や保険料が必要最低限に抑えられていますし、レジャー費や雑費、被服費などの項目が無く、それらを吸収していると思われるお小遣いの金額も抑えられています。
高齢になると、医療費などが今よりもかかりやすくなりますので、支出は少し増える可能性があります。