はじめに

ポータビリティの選択は4択から想定しておこう

退職が決まった場合、人事部や総務部など担当部署から退職金に関するお知らせがあります。企業年金があれば選択肢が掲載されています。次の職場が決まっている時には再就職先の企業年金制度の有無により選択肢が異なってきますが、一般的な選択肢を見ておきましょう。

(1) 退職時に一括で受け取る。ポータビリティ(持ち運び)の利用をしない
(2) 元の勤務先の確定給付企業年金に資産を預かってもらう。60歳以降に一時金あるいは年金で受け取る
(3) 企業年金連合会に預ける。原則65歳から厚生年金に上乗せして終身年金で受け取る
※企業年金連合会は厚生労働大臣の認可により設立された法人、公的機関と考えていいでしょう
(4) 確定拠出年金(企業型、または個人型)に移し、自分で運用する。60歳以降に一時金、あるいは年金で受け取る

選択する際は、自分の状況に合わせてメリットとデメリットを確認しておくことです。大前提として退職金は老後の資産として活用したいものですが、住宅ローンの返済に充てるなど直近の使途が決まっているのであれば(1)一時金で受け取る選択になるでしょう。老後の資金に考えているのであれば(2)から検討することをお勧めします。

その際、運用金利や年金で受け取る条件を確認しておきましょう。というのも企業年金の運用金利は2%など現在の銀行預金の金利より遥かに高いことも多いのです。その他、受け取りについても20年間は確定給付で生きている間は一生涯受け取ることができるケースもあります。(20年間受け取る前に死亡した時には遺族に残額が一時金で給付されます)

(3)は80歳まで確定保証の終身年金になります。持ち運ぶ際は、自分の状況により最大3万3,000円の事務手数料がかかります。運用金利は資産を預けた時の年齢によって0.50%から1.50%ですから(2)の条件と比較検討したいところです。

最後に(4)の確定拠出年金ですが、転職先の制度の有無により企業型あるいは個人型の確定拠出年金に預けることになります。個人型か企業型で、手数料や運用商品に違いがあるものの、大きなメリットは投資信託で運用すれば大きく増やせる可能性があることと税制優遇です。

以上、転職時に伴う退職金、特に企業年金の持ち運びについてお伝えしてきました。40代でまとまった額の退職金を受け取る人もいるかと思いますので、ぜひ十分に検討して悔いのない選択をしていただければと思います。

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