はじめに
進化しているアナログ手法
こうしたデジタルな詐欺が横行している一方、ネットを使わない人たちを狙い、電話や郵送などのアナログな手法も駆使してきています。
架空請求といえば、ご存じのようにハガキで「未納料金があり、あなたは民事訴訟を起こされている。連絡が無い場合、給料や不動産を差し押さえる」という脅しの文面を送ってきて、連絡してきた人から、裁判取り下げ費用などの名目で金を騙し取ろうとするものです。
6月以降、愛知県や静岡県では、ハガキではなく「東京法務管理局」なる封書が数多く送られてきています。封書には「訴状」「答弁書」などの3枚の書面が入っており、すでに金銭的な被害も発生しています。
架空請求=ハガキという注意喚起が徹底されて、ハガキで騙す効率が悪くなってきたのでしょう。書面という、より信ぴょう性をもたせた形で騙そうとしてきています。さらに文書には「ハガキによる督促は詐欺です」とも記されており、最初にこの布石を打つことで詐欺と疑われないようするための工作も施されています。また「お車での来庁はお控えください」とまであり、アナログはアナログなりに進化してきています。
組織的詐欺がネットを通じたデジタル詐欺と、電話や郵送といったアナログな手法を使うのは、この両面からのアプローチをすることで、幅広い世代を騙せるからに他なりません。
+873からの電話に注意
ただし、詐欺は国内から行われるわけではありません。国外からのアプローチも多くあります。被害の多いものに国際ロマンス詐欺があります。これは、SNSでイケメンの外国人の男女が異性に恋愛感情を抱かせながら、言葉巧みに金を騙し取る手口です。女性の被害も多いですが、男性も騙されています。
今月、国際ロマンス詐欺を行っていた外国人グループが捕まりました。被害総額は1億円にも上るといいます。しかし、この男たちは口座を開設して、お金を振り込ませた後に出金する受け取り役で、いわば詐欺の末端です。この背後には大きな組織があり、SNSにてメッセージで送るグループは海外のどこかにいて、昼夜問わず詐欺を行っています。
デジタルな詐欺をする集団がいるとすれば、当然、アナログな手段を講じるものもいます。その一つが、国際ワン切り詐欺電話でしょう。このところ、海外から+873の番号で電話がかかってきています。知人からも、この番号でかかってきたという報告も寄せられましたので、かなりの人に掛けられています。もし折り返してしまうと、高額な通話料金が発生します。ここには、電話を発信する詐欺グループと海外の電話会社が一体となって、金を騙し取ろうとする構図があります。
実は、このところ多発している「謎の種」の郵送もまた、国際的な詐欺集団が行う、アナログな手口ではないかと考えています。もちろん種に病原菌などが付着していることもありえますので、植物防疫所に連絡することも大事です。ただバイオテロが目的ならば、すでに日本、アメリカなどの公的機関からその旨の発表があってもよいところですが、今のところ何にもありませんので、詐欺の可能性が高いと考えています。