はじめに

通販サイトで定価に線が引かれていたら…

以前、あるテレビ番組で、調査のためにあるファッション偽通販サイトにアクセスしました。女性モデルを使った立派なサイトで、大手のサイトにも引けをとらないものでした。しかし、大手サイトと違うのは、値段の部分です。定価に線が引かれ、2,3割安い値段がその下に表示されていました。

これは詐欺サイトに共通する手口です。大手のサイトをそっくり模倣して、定価部分だけに線をつけて、安い値段を表示するのです。ネット利用者は、1円でも安くものを買いたいと通販サイト探していますので、つい注文してしまう人が多くいることでしょう。

詐欺師たちはこうした消費者心理を狙って騙します。このほかにも、ふるさと納税の偽サイトもあります。ここでも本来のHPの金額より、安い値段での表示をしています。定価に線が引かれていたら、「詐欺かも?」と思ってください。

サイトの奥を見る

騙されないためには、詐欺師の発想を逆手にとることが必要です。詐欺師たちが「―」という値引きの手段で騙そうとするならば、私たちも「―」という引き算的発想で身を守るようにしてほしいのです。

それは、「怪しんで立ち止まり、確認する」というマイナスの発想です。偽通販サイトでは、正規サイトをそっくりコピーするなど表側はよくできているのですが、奥にはたくさんの穴があります。

マイナスの目線で先ほどの偽通販サイトの「配送と返品について」のページをみると、「支払い方法について、クレジットカード信用卡」となっていました。また「帰りの承認を得るためにご連絡下さい」「セール品は配送から60日以内に戻らなければなりません」など、意味の分からない日本語が次々に見つかります。

というのも、詐欺サイトの背後には、海外組織が絡んでいることが多いからです。翻訳する際に、誤訳などのミスが出るのです。先の「信用卡」という言葉も、中国語で「クレジットカード」を意味しますので、原文を一部、削除し忘れたのでしょう。
 
サイトでの注文や個人情報を入力することはアクセルを踏むこと。一方で、「おかしくはないか」という思いは、ブレーキをきかせることです。注文のアクセルを踏む前には、必ずブレーキをかけて、「確かめる」というワンクッションを入れて進んでください。

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