はじめに

景気は、新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言下では極めて厳しい状況にありました。17日に内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比7.8%減、年率換算では27.8%減でした。

しかし、5月頃を景気の谷として、緩やかな回復局面に入った可能性が大きいと思われます。但し、7月に入り新型コロナウイルス感染者が増加し、8月に入っても高水準が継続していることから、先行きへの不安は拭えない状況にあります。

今回は様々な調査や事象から景気の先行きを考えてみたいと思います。


景気ウォッチャー調査は過去最低を記録

景気に敏感な立場にいる人々の意見を聞く「景気ウォッチャー調査」は今年の4月に各判断DIが統計開始以来の最低を記録しました。現状判断DIは7.9でした。その後、5月15.5、6月38.8、7月41.1と、全員が「変わらない」と答えた場合の50を下回っているものの、持ち直しの動きがみられます。

また、2~3カ月先の景気の先行きに関する先行き判断DIは4月の16.6から6月では44.0まで戻していたものの、新型コロナウイルスに対する懸念が強まっているために7月は36.0に低下しました。但し、全員が「やや悪化」と答えた場合の25を上回っています。

新型コロナウイルスに関するコメントをした景気ウォッチャーの回答だけを使い、新型コロナウイルス関連・現状判断DIと、先行き判断DIを独自に作成すると、新型コロナウイルス関連・現状判断DIは4月には8.7と3月の12.0から1ケタに下落しましたが、5月13.1、6月35.0、7月38.6に戻しました。

一方、新型コロナウイルス関連・先行き判断DIは、いち早く底打ち感が出ていました。3月の16.3を底に6月は43.6へ上昇していましたが、感染者の増加から先行き懸念が台頭し、7月は32.7に低下してしまいました。

7月に新型コロナウイルスに関してコメントした人は、現状661人、先行き956人と6月の現状553名、先行き702名から増加しましたが、最多だった3月の現状998名、先行き1,086名に比べればまだ少ない人数です。

3密を避けるなどの新型コロナ対策という制約の中、緩やかな景気拡張局面が続いていくことが出来るか注目されます。

「悪化」が続いてきた景気動向指数を使った景気判断は8月分で「下げ止まり」に

2012年12月から始まった景気の拡大局面は2018年10月を暫定的な山として終了し、後退に転じたと内閣府が認定しました。景気の拡大期間は71ヵ月にとどまり、戦後最長だった「いざなみ景気」(2002年2月~2008年2月)の73ヵ月には届きませんでした。個人消費が盛り上がりを欠いた景気拡張局面でこの間の経済成長率は年平均+1.1%にとどまりました。また、この拡張局面では非製造業の景況感と雇用面がしっかりしていました。

2020年5月まで19カ月連続の後退局面ですが、5月を谷として6月から景気回復局面に戻った可能性があります。景気一致指標として重要な鉱工業生産指数・6月分の前月比は上昇に転じました。6月分の鉱工業在庫指数は、前月比・前年同月比ともにマイナスで、緊急事態宣言が解除された途端に、6月分の生産が前月比プラスに転じた要因のひとつです。鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測指数でみると7月分、8月分ともに上昇の見込みです。順調にいけば、鉱工業生産指数は3ヵ月連続の上昇が見込まれます。

景気は再び拡張局面に入った可能性が高いと思われます。もちろん新型コロナ対策という制限の中での緩やかな景気回復ですし、新型コロナ感染症拡大の状況次第では拡張局面にならない可能性もあります。但し、景気動向指数・一致指標の10系列中、小売業、卸売業の商業販売額指数2系列は前年同月比なので、来年春にかけ改善傾向になる可能性が大きいことが予想されます。

景気動向指数を使った景気判断は、現在「悪化」が続いていますが、早ければ10月7日公表予定の8月分で「下げ止まり」に転じる可能性が大きいと思われます。