はじめに
マンション住民が在宅避難するためには
同区では在宅避難にあたっては、「7日間分の食料、水、携帯トイレを備蓄して」と呼びかけます。食料や水の備蓄は当然として、忘れがちなのがトイレです。災害時は断水が続く上に、排水管が壊れていると低層階に下水が漏れてしまいます。高層マンションでは、水を流すことはできません。
また、家具が転倒すると、ケガをする危険があるほか、室内が散乱して生活が続けられなくなります。背の低い家具を使ったり、家具転倒防止器具 を取り付けることを呼びかけています。
夏祭りやバーベキューも防災対策
都内の住宅環境に詳しい、池本洋一SUUMO編集長は「土地が狭く、人口密度も高い都心部の場合、震災後は避難所に被災者が殺到することが想定されます。避難所は自宅が倒壊した人を優先して受け入れるため、高度な耐震性を誇るマンション居住者は、避難所に入れないケースが多いと考えられます」とし、マンション住民は在宅避難を意識した備えをしておくことを呼びかけます。
また、大きな災害時は、自衛隊や管理会社がすぐには駆けつけられません。「いかに居住者だけで乗り切ることができるかが重要です。ほとんどのマンションで防災訓練をしているので、必ず参加しましょう。マンション選びでも、訓練の参加率から、住民の防災意識の高さが測れます。マンション全体での備蓄はもちろん、夏祭りの開催やBBQ、炊き出しなど住民同士の交流の場をたくさん持つと良いです」と話します。
新しい戸建てでも
戸建てでも、在宅避難を意識した方がよいケースがありそうです。法改正があった2000年以降を目安に、比較的新しく建てられたものは十分な耐震性があり、倒壊するリスクが低く、避難所に行かなくても済む可能性があります。
「太陽光パネルでの発電や蓄電池の設置がされていると、停電中でも電気が使えます。断水時に水が使用できるような貯水タンクも、被災後の生活に向けてあると安心です。これらは非常時だけでなく、日常的な光熱費の削減につながる場合もありますので、今後の住まいの標準設備になっていくことも考えられるでしょう」(池本編集長)