はじめに

「みんなと同じ」は必要なし

増えすぎた支出をカットすることは、見栄や慣れ等により難しい部分もあります。確かに周囲のご家庭と同じような暮らし方をしたいと思う気持ちも、わからなくはないですから。

ただ、「他所は他所、家は家」です。みんなと同じである必要はありません。他のご家庭もやはり、自分以外のご家庭の暮らし方をうらやましく思っているかもしれません。家庭の中に入れば、やりたいことができていないご家庭もあるのです。

ですから、みんながやっているから、という気持ちは取り除き、いまご家庭に必要な支出がしっかりできることを再優先して、支出の見直しをしていきましょう。

支出カットのための考え方

例えば、自動車を購入したので、維持費がかかるのは仕方がありません。ではその増えた支出を補うには、どの支出を減らして調整するとよいかと考えてみるのです。客観的に考えると、使い方にもよりますが、スマートフォンの契約内容を見直したり格安なものに変えると、1万円以上支出がカットできそうだとか、食費・日用品代などの日々出ていく支出を抑えるために、1週間など短いスパンの予算を立ててコントロールしよう、というようなことができると思います。

支出をコントロールせず、ただ増やしているだけでは赤字になっても仕方がありません。支出の優先順位を考えながら、優先度合いの低い支出をカットしていくようにしましょう。

増え続ける支出に気づき、足元を見つめなおしてムダな支出を減らしていく。これができなければ、お金は貯められません。せっかく頑張って稼いだお金ですから、まとまった金額まで積み上げたうえで、家族のため、自分のため、将来のために、有意義に楽しく使ってほしいものです。

ローンばかりに頼らない暮らし方を

住宅ローンに自動車ローン、一気に2つのローンを抱えるようになりました。収入が増えたというのであれば、自動車ならお金を貯めて購入するという選択肢もあったはずです。

ローンは分割で安定した支払いができるからと好む方もいらっしゃるようですが、結局は借金の一種です。利息や手数料という現金一括で購入できれば必要のなかったムダな支出を生みます。

さすがに数千万円が必要になる住宅購入の場合は住宅ローンを利用することがほとんどでしょうが、お金を貯めて購入ができる範囲のものは、できるだけローンを使わないようにしましょう。特にボーナス払いの利用は注意していただきたいローンの利用の仕方です。

ボーナスはそもそも、会社の業績などにより支給が確実ではないものです。給与の補足として必ず支給するという規則になっている会社もあるでしょうし、長きにわたり必ず支給されてきたという会社もありますから、支給される信頼性が高いという場合もあるでしょう。ですが、今回の新型コロナの影響を受け、冬のボーナスが削減されるという報道を見ると、どのような会社でも、公務員でさえも、ボーナスが減らされたり、支給がなくなるような事態となる可能性がゼロではないことがわかるでしょう。

ボーナスに頼ってしまうと、削減、不支給の時に支払いができず、途方に暮れるかもしれません。これからはローンの利用の仕方も十分検討し、万が一の事態でも生活が揺るがないような組み方を考えるようにしましょう。

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