はじめに

「何とかやっていける」の根拠は?

「退職金がでたから、老後資金は十分ある。つつましく暮らしていけば、何とかやっていけるはず」とおっしゃる方にお会いすることがあるのですが、実はこの「何とかやっていける」には根拠がない場合が多いものです。実際にかかる生活費のことも把握しておらず、老後の収入では生活費がいくら不足するのかの見当も付いていないのです。このまま老後生活に突入するのは、先行きが不確実で、恐ろしいことだとも思ってしまいます。まずは自分に、またはご夫婦に毎月いくらの生活費が必要なのかを大雑把にでも把握しましょう。収入と比較すると、その生活費はいくら不足する(補てんが必要)のか。それが出せると、老後の生活費としていくらあれば良いのか、ということがわかります。

生活費と臨時支出を把握する

相談者さんの場合は、毎月の収入がご夫婦で約21万円、支出は35万円です。この状況を続けるのなら、毎月14万円を老後資金から出さなくてはならず、これは1年で168万円が減っていく計算となります。単純に考えると、10年で1,680万円、20年で3,360万円が生活費の分として必要だということです。65歳から年金を受給する、妻が仕事を辞める、企業年金の受給が終了するなどで、必要な老後資金は変わってきますが、このような大雑把な見方でも、老後資金が全く足りていないことがわかります。

しかも、先ほどの計算は生活費分だけで、介護医療費やリフォーム代など臨時でかかる支出は含まれていません。生活費も、将来必要となる臨時支出も残していきたいとなると、早急に生活費を圧縮することを考えていかなくてはなりません。

老後資金不足でできることは節約だけなのか

相談者さんのように老後資金が不足する見込みが強い方の場合、節約することは効果的ですが、それだけでは人生の楽しみがないと考える人もいるでしょう。実はできることとは節約だけではなく、収入を得ることも検討する余地があることです。

老後資金を十分に残していくには、
1、収入を増やす
2、支出をコントロールして減らす
3、運用をする
という3つがあります。

定年後は無理をして運用することはありませんが、今ではシニアの働き口もありますから、一度退職しても働いて収入を増やすことはできそうです。

赤字になる金額すべてを働いて稼ぐと考えると、負担感が大きくなりがちです。ですが、パートやアルバイトなど、時間を短くしたり、働く日数を少なくするなどしながら収入を増やすことは検討できるのではないかと思います。

節約して支出を減らすとともに収入を増やすことができれば、赤字額はぐっと減らすことができるでしょう。そうできると、老後資金が減るスピードが遅くなり、長持ちさせることができます。老後は豊かな生活を送るためにも、収入と支出のバランスが取れるようにして行くことが大切です。

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