はじめに

東洋合成工業(4970、JQS)やレーザーテック(6920、東1)の注目が高まっています。この2社に共通するのは半導体露光における「EUV(極端紫外線)」という新しい光源を使った新技術への期待でしょう。こういった技術変化はEUV以外にも様々な分野で生じています。今回、技術変化により追い風を受ける半導体材料メーカーを取り上げます。


EUVによる露光光源の短波長化

まずはEUVとはなんでしょうか。5Gの普及等を背景に半導体の高速化・大容量化が加速しており、その実現には微細配線が必要です。

そこで昨年来、TSMC(台湾)やサムスン電子(韓国)といった大手半導体メーカーは露光工程でEUVを導入しています。EUVの波長は13.5nmと、その1世代前のArF(フッ化アルゴン、200nm程度)と比べ大幅に短く、最先端の微細配線を形成することが可能なのです。

EUVでメリットを受ける代表的な企業が上記2社ですが、当研究所では大阪有機化学工業(4187、東1)という企業にも注目しています。

露光工程では、「フォトレジスト」という薬品が使用されています。フォトレジストは特定の波長の光を受けると、含有されている樹脂成分(ポリマー)が硬化する性質があります。ポリマーの素材は光源の世代ごとに変遷しており、EUVでは副骨格としてアクリル酸エステルが使用されています。

大阪有機化学工業はフォトレジスト向けのアクリル酸エステルで市場シェア6割以上を持つトップサプライヤーであり、EUV向けの収益が伸びると期待されます。また、アクリル酸エステルは1世代前のArF向けでは主骨格として採用されています。先端半導体の生産ではEUVだけでなくArFも併用されることから、大阪有機化学工業においてはArF向けの収益拡大も大きな成長ドライバになると考えられます。

DRAMも次世代素材に

DRAMは揮発性メモリの一種です。揮発性メモリは構造上、チップ中に形成されたキャパシタから電荷が漏れていくため、一定の間隔でリフレッシュ動作が必要です。省エネの観点からはリフレッシュ動作を減らしたく、それにはキャパシタの容量を大きくする必要があります。キャパシタの絶縁膜には「High-k材料」と呼ばれる比誘電率の高い素材が使用されていますが、これが次世代素材に変化しようとしているのです。

この変化の背景には、チップの高集積化でシリコンウェハ当たりのチップ個数を増やしたい半導体メーカーの思惑があります。チップを高集積化するには配線を微細化する必要がありますが、結果としてキャパシタも狭小化してしまうのです。

これに伴う容量低下を防ぐには、キャパシタの絶縁膜を更に比誘電率の高い材料に切り替える必要があります。従来までHigh-k材料には酸化ジルコニウムや酸化アルミニウムが使用されてきましたが、最新のDRAM製造プロセスでは誘電率が更に高い新素材(金属前駆体)が採用されています。