はじめに
前遺言の記載を除くこともできる
続いて、前遺言の記載を除くことで対応ができる例もご紹介します。
このような記載にすることで、自社株式を含まずに追加で遺言の作成をすることが可能になります。この場合、以前にも遺言書を作成していたことが明確になりますので、前遺言を作成していることを知らせたくない場合などに使用することはできません。「こんな遺言を作成したい。」という相談だけで遺言の作成に入ってしまうことは、最終的にご相談者の想いや願いを叶えられないだけでなく、相続そのものを複雑にしてしまうことがあります。「なぜ、遺言をしたいのか」ということをご本人からお話頂くこと、そして専門家もこのような内容の聞き取りを行うことが重要です。
今回のケースでは、遺言を追加で作成したいという想いがありましたが、やはり全ての遺言を書き替えるほうがシンプルで間違いが少ないでしょう。そのような場合、下記のような内容になります。
このような記載を行うことで、前遺言が何通あったとしても全てを撤回したことになります。
相続対策に重要なことは、遺言書の作成や各種契約書の作成をすることではなく、想いや願いを叶えることです。また、想いや願いの本質を知ることも大切です。それぞれのご家庭、財産の状況を考え、真の目的を明確にすることが生前対策において重要なことなのです。
<行政書士:藤井 利江子>