はじめに

日本では当初、浸透せず

―そのポスト・イット® ノートが日本に輸入されたのはいつ頃のことですか?

坪井 :全米で発売した1980年の翌年のことです。ただ、鳴り物入りで日本でも発売が始まったポスト・イット® ノートですが、アメリカで起きたことが日本でも起こるかと言うと、そんなに甘くなく、「何これ」「どうやって使ったら良いかわからない」といった感想が多く、当初はなかなか響かなかったようです。

日本で伸び悩んだ原因の一つとして考えられたことが、付箋のサイズ感でした。アメリカで最も売れたポスト・イット® 製品は3インチ×3インチの正方形の製品でした。でも、日本市場はこのサイズに馴染みがなく、そこで考えたのがサイズの追加でした。

日本オリジナルとして、75ミリ×25ミリという細長のサイズにカットして販売したところ、大ヒットに至ったようです。

―なぜ、「75ミリ×25ミリ」がウケたのでしょうか?

坪井 :実は日本には、端部に赤い色がついた付箋紙のような商品が伝統的に存在しました。これは切手のように水で濡らして貼り付けるタイプで、はがす際に原本や書類が傷ついたり破けたりしがちでした。これに近いサイズが75ミリ×25ミリだったんです。

その上で、「貼ったり剥がしたりできますよ」ということが多くの人に伝わるとどんどん売れ始めたそうです。

postit_04今日にも受け継がれている「75ミリ×25ミリ」のポスト・イットⓇ 製品(写真提供:スリーエム ジャパン)

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