はじめに

他社の付箋と圧倒的に違う点とは?

―ポスト・イット® 製品のヒット以降、各社から「付箋」製品が販売され始め今日に至っています。他社製品と絶対的に違う点はどういったところでしょうか?

坪井 :ポスト・イット® 製品の特長は粘着度が強めで剥がれにくいところです。ポスト・イット® ブランドでも、独自の技術を使い、製品ごとに粘着剤を使い分けています。

特に、強粘着タイプのポスト・イット® 製品は2000年代以降、特に好評をいただいています。当初はノートや本などに貼るために作っていたポスト・イット® 製品ですが、近年ではパソコンの脇にちょっとメモを残しておくなども増えていまして、これまで貼りづらかった樹脂面や垂直面にも貼れるように対応した製品です。

―しかし、そもそも「貼って剥がせる」という粘着性能のバランスも難しそうですし、さらに強粘着となると、より開発が難しそうな気がします。

坪井 :おっしゃる通り、粘着強度をアップさせながら、糊残りを残してはいけないという、ある意味でトレード・オフの関係を実現するわけですから、技術的にはかなり難しいです。お使いいただく際にポスト・イット® 製品の技術を感じていただけると嬉しいです。

また、粘着剤が厚くなると、紙自体がカールしやすくなる問題もあります。付箋を使うということは、何かの目印にしたり、メモとして書き込んだりするためですから、紙自体がカールしてしまっては本末転倒です。そこで、「付箋紙表面への書き込みのしやすさ」「カールのしにくさ」といった点もかなりこだわって開発しています。

postit_05ノートや本だけでなく様々な物に貼る人が増え、通常の付箋よりも強い粘着力を求められるようになった(写真提供:スリーエム ジャパン)

コロナ禍に投入した新製品

―特に今は、コロナ禍によるリモートワークの浸透などで、オフィスユースが減り、ポスト・イット® 製品へのニーズもだいぶ変わったと思います。現状の市場動向と今後の戦略は

坪井 :新しい生活様式となる中、「だからこそ新しいニーズが生まれるはずだ」と考えています。

特に、この夏発売したコネクトディスペンサー/ホルダーという商品は、新しい生活様式になる前から言われていた「働き方」の変化を意識して開発した製品です。

これまではオフィスなどだけで使われていたポスト・イット® 製品ですが、今の仕事場は勤務先のオフィスに限らず、自宅、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェなど様々に変わってきています。こうした「働き方」の変化に呼応し、「どこでも、どんなときでも使える」よう、作業する場所に手軽にポスト・イット® 製品を設置できるコネクトディスペンサー/ホルダーをリリースしました。最小のスペースで文房具を机の上などの取り出しやすい場所に置いておけるのが特徴です。

postit_08コネクトディスペンサー/ホルダーは、同梱の特殊テープによって壁面などにつけることもできる。もちろん接着剤に知見のある3M製品なので、簡単に取れたりはしない(写真提供:スリーエム ジャパン)

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介